読書感想:ヒロインレースはもうやめませんか?(2) ~新ヒロイン排除同盟~

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前巻感想はこちら↓

読書感想:ヒロインレースはもうやめませんか? ~告白禁止条約~ - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

さて、ラブコメにおける新ヒロイン追加イベントというものは、考えてみると巻数を重ねる程に難しくなるのかもしれないと言っても過言ではないかもしれない。それは何故か。何故ならば、巻数を重ねるごとに既存のヒロインの魅力は深堀されていくものであり、そこに新ヒロインを追加するという事は、そのヒロインは魅力をまだ発掘されておらず、言わば出遅れた状態という事だからであると私は思う。

 

 では、一体そういう場合にはどうすればよいのだろうか。スタート位置が既存ヒロインと同じであれば出遅れ確定、ならば強力な武器を持たせてスタート位置を前に押し出してしまえばいい。

 

しかし、そういうヒロインは往々にして強力な恋敵となり得る存在であり、ヒロインにとって強大な敵となってしまう事も多い。それこそ複数ヒロインがいるのであれば、複数のヒロインが協力して立ち向かわなければいけない程に。

 

前振りが長くなってしまったがつまりどういう事か。それはこの巻のサブタイトルにもなっている通り、萌絵、むつき、しおりの三人による新ヒロインを排除するお話である。

 

「運命のあの子」、それは主人公と将来を約束しあったヒロインであり、ラブコメにおいては勝ちフラグと言っても過言ではないフラグである。そんなヒロインがこの作品の主人公である錬太郎にも存在していた。名前も覚えていないけれど、確かに約束した事だけは覚えているそんなヒロイン。

 

その一報を聞いて穏やかでいられないのは、萌絵達既存ヒロインの三人である。互いにけん制し合い、隙を見て蹴落とそうと企みながらも、基本的には手を組み、新ヒロインについての情報を探り、その正体を知ろうとする。

 

その戦いの舞台となるのは沖縄。暑い季節と青い海という非日常の中、時に水着で錬太郎にアピールしながら、錬太郎が記憶を思い出す前に、と何処か生き急ぐように。

 

だがしかし、画面の前の読者の皆様の中で心配されている読者の方が折られるならそれは杞憂であるとお伝えしたい。そもそも、その勝ちフラグは普通のラブコメならば強力な武器となるフラグであるが、この作品の主軸からは離れているのはもうお分かりであろう。

 

「失恋もいい経験でしょ?」

 

既に「約束の相手」が人妻という事も秘密にされ絶望を叩きつけられ。それもまた、錬太郎を成長させるための彼女達の策略。その策略に乗せられていると気付かぬまま、また一つ経験し強くなる錬太郎。その背後、新たなるヒロインの参入を阻止した三人の新たな戦いが始まる。

 

バッチバチにぶつかり合う、そんな面白さがまた一つ段階を上げる今巻。

 

前巻を楽しまれた読者様、現実的なヒロインレースが好きな読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。