読書感想:魔王使いの最強支配4

 

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読書感想:魔王使いの最強支配3 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、前巻で魔王を次々とテイムし、集団としての力を更に増していくルイン達に本格的に目を付けた現魔王、セオドラが本格的に動き出したと言うのは前巻を読まれた読者様であればご存じであろう。セオドラに対抗するのならば、個としてのレベルアップも重要であるが、同時により大きな拠点も必要となる。巨大に過ぎる敵とぶつかり合うのならば、そも個人の力で挑む段階もそろそろ卒業段階、と言えるのかもしれない。

 

 

だがしかし、これもまた忘れてはいけない。本格的に動き出したセオドラは、ロディーヌを攫い配下に収めた。つまりは彼女も魔王を戦力として集め出したという事。それ即ち、ここからは速度勝負も始まるという事であり魔王対魔王の戦いも始まるという事である。

 

本格的に動き出したセオドラに対抗する為、国との繋がりを求めるも、そも一冒険者であるルイン達には中々の問題であり。悩みに首をひねる中、セレネから齎されたのはローレンシュタインという国が落ちたというお知らせ。今までセオドラが落としてきた国の中でもあからさまに小さなそこに、逆に何かがあるのではと直感し、ルインはリリスとコンビで王都へ潜入する。

 

潜入した先で見るのは、ごく普通ないつも通りという日常。料理が腐っていたというふとした疑問が引っ掛かる間もなく、ごく普通という部分に逆に気持ち悪さを感じる中、ルイン達はひそかに反抗の機会を伺っていた王の手下である騎士達へ、呼び出される。

 

だがそれは、セオドラの思惑通りであった。突如として襲撃してきた魔族、更には裏切った王。リリスを逃がし一人逃亡する彼は、王女の娘である生者、オリヴィアによって助けられる。

 

 さて、もうそろそろお分かりではないだろうか。この「生者」という部分が要である。オリヴィアにより明かされたのは、この王都には既に彼女以外死者しかいないと言う真実。裏で糸を引いていたのは、セオドラにより復活した、死者を操る「霊」の魔王、ドロシーである。

 

そも、何故この国は狙われたのか。その理由はこの国の遺跡で発見されたアイテム、「女神の天啓」。魔王使いの真の力を引き出すと言うそれこそが狙われたもの。

 

急ぎ遺跡へと移動する彼等を強襲してくるドロシー。ロディーヌと違い自身の意思でセオドラに従う彼女とは分かり合うことは不可能であり。邂逅も束の間、かつての魔王使いの末路を知りつつも遺跡に辿り着く中。再びの攻撃を仕掛けてきたドロシーは、リリス達に縁のある者達を操り、精神を揺さぶりながらも攻撃を仕掛けてくる。

 

一先ず迎撃に出る魔王達、その時間を稼いでいる間に「女神の天啓」を取りに行くルインとオリヴィア。しかし装着した途端、ルインは謎の空間に転送され、この世界の神である女神、アルフラと邂逅する。

 

かつての自らの失敗から後悔し、ルインから「女神の天啓」を取り上げようとするアルフラ。だがルインは大切な仲間達を守る為、アルフラと激突してでも先へ進む事を選び。力のほとんどを失っているとはいえ、女神であるアルフラを圧倒する程の力を見せる。

 

「―――希望を捨てない意味は、ありました」

 

それでも、貫くのは最初の思い。魔王達と叶えたいと願った想い。その心に希望を見たアルフラは、セオドラを倒すまでの間の使用許可を与え、彼を現実世界へと送り出し。現実世界へ帰還したルインは、新たな力とリリスの真の力を引き出し。哀しき戦いを終結へと導いていく。

 

だが、それもまたセオドラにとっては楽しみに過ぎず、小動の動揺すら与えられず。国という拠点を得ても、まだ遠く及ばぬのである。

 

さらに世界が進む中、新たな戦いの始まる今巻。シリーズファンの皆様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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