前巻感想はこちら↓
読書感想：厳しい女上司が高校生に戻ったら俺にデレデレする理由３ ～両片思いのやり直し高校生生活～ - 読樹庵 (hatenablog.com)
さて、前巻で小栗という明確な恋敵が現れ、七哉や透花と同じように二周目の人生を過ごしていた彼女によって二人の関係は存分にかき乱されている訳であるが、果たして彼等の関係はどうなってしまうのか。・・・もう表紙から答えは見えてね？ と言いたい読者様は一旦ツッコミを待っていただきたい。起承転結で言う所の「結」、全ての結実となるのが今巻なので。
小栗がタイムリープしていたという事実、そして彼女自身の策略。その策により文化祭で出会えず、七哉と透花の二人は何処か気まずい関係となっていた。
そんな中、二人の仲を更に引き裂くかのように小栗の「付き合っていると言う噂の流布」、という業法的に既成事実を作り外堀を埋めると言う策略が発動し。ショートし動揺した透花は完璧美人に似合わぬ数々の事件を引き起こしていく。
ジャージで登校して来たり、何故か学食でラーメンを激辛にしてしまったり、更には自動販売機で号泣したり、危うく髪を自分でカットしそうになったり。傍目から見ていると壊れたのではないか、としか思えぬぽんこつぶり。しかしその理由を探ろうとしても逃げられるばかり。悩み焦燥する七哉。
両片思いであっても信じられず、逃げてしまう。それは何故か。それはきっと彼等が「二周目」であるから。なまじ大人と言う時期を経験しているからこそ、考えすぎてしまう。疑ってしまう。だけど、それでも。彼等は向き合わなければならぬ。それは今、彼等が「子供」だから。その後悔を繰り返さぬ為、好機は今、この時しかないのだから。
彼等の関係を解きほぐす切っ掛けとなるのは、ある意外な人物。そして背を押すのは、二周目だからこそ培えた、元から持っていた、新たに得た絆たち。
「あなた、なにか勘違いしていない？」
小栗と透花は改めて向き合い、勝ち誇る小栗の心の矛盾を透花は突き付け、管理職として培った観察眼と心でその心を受け止め。
「みんなと、この二度目の青春を楽しみましょう」
そして、透花と七哉は改めて向き合い。あの日から変わらぬ、けれど少しだけ変わった思いをぶつけ合い。停滞を越え一歩、「二周目」だからこその願いを以て二人で未来へと踏み出していくのである。
その先、始まりの季節となった時代に待っている景色は。それをもう明言する必要はないだろう、だってそれは野暮っていうものだから。
両片思いでタイムリープ、その全てが結実する今巻。シリーズファンの皆様は是非、この最期を見届けてみてほしい。
きっと貴方も満足できるはずである。
厳しい女上司が高校生に戻ったら俺にデレデレする理由4 ~両片思いのやり直し高校生生活 (GA文庫) | 徳山銀次郎, よむ |本 | 通販 | Amazon
