読書感想:厳しい女上司が高校生に戻ったら俺にデレデレする理由3 ~両片思いのやり直し高校生生活~

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前巻感想はこちら↓

読書感想:厳しい女上司が高校生に戻ったら俺にデレデレする理由2 ~両片思いのやり直し高校生生活~ - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

※今回の感想は特にネタバレ要素が強いと思われるので、少しでも無理という読者様は無理せずこのページをそっと閉じられてください。

 

 さて、この作品をここまで追われてきた読者様であればもはやあらためて言うまでもないであろうが、この作品の主人公である七哉とヒロインである透花は両片思いであり、高校時代にタイムリープしている、という状況である。―――そして、恋敵になり得るかと思われた琵琶子は恋敵にならず、寧ろ味方となり友人となる。それはこの「二周目」の高校生活における明確な変化であると言えよう。

 

 

だが、果たして「二周目」であるという事を自覚しているのは本当に二人だけなのだろうか。もし・・・この二周目という状況を他に認識している者がいたら? その者が先んじて何かを仕掛けてきているとしたら?

 

 その者は強力な恋敵となりはしないだろうか? つまりはそういう事である。起承転結で言うのならば「転」。ここから全てが本格的に動き出す、と言っても過言ではない巻なのである。

 

「どうして七哉くんとお兄ちゃんが知り合いで、それを私に隠していたの?」

 

そんな事を問いかけれどはぐらかされ、ちょっとしたデートを繰り広げたら琵琶子に乱入されたのも束の間。日常に戻り文化祭も迫る中、七哉はオンラインゲーム上の友人、「マロン」からオフ会の誘いを受ける。

 

 マロンの正体、それは右色小栗という後輩の少女。そして、かつての高校時代に七哉に告白し、フラれた少女である。

 

誘いのメールを見られ、何故か透花と琵琶子も同道する事になったオフ会の場。自分の知っている小栗の印象とは違う、そんな小さな違和感は七哉の心の中に残る。

 

「年下女子はお嫌いですか?」

 

そんな彼へといきなり小栗は爆弾を込めた一撃を繰り出し、透花と琵琶子の驚愕の中、七哉の心を揺らしていく。

 

更に衝撃冷めやらぬ中、七哉の高校に現れた小栗はあの日のように彼をデートに誘いだし。その場にいた琵琶子の引っ掻き回しで、何故か皆で遊園地に行くことになり。

 

「下野先輩も真剣に考えてもらえると嬉しいです」

 

デートの終わり、透花を押しのけ二人で乗った観覧車、更に彼女の告白に心を揺らされる。

 

 そう、彼女は正しく「恋敵」であり、三人目のタイムリープ者である。七哉達に先駆け二年と少し前に大人時代から舞い戻ってきて、今度こそと七哉を落とす為に準備を続けていた者である。

 

「あなたの思い通りにはさせませんからね、上條課長!」

 

深く考えすぎる七哉、自分に向けられる思いには鈍感な透花。二人が空回りしながらも向き合おうとした矢先、小栗の嘘により二人は出会わず、告白の機会は先延ばしにされる。

 

 七哉にとっても、透花にとっても、小栗にとっても。誰にとっても予想外の事ばかりなこの二周目の人生。だが、小栗という明確な変化は舞台に波紋を巻き起こす。

 

だからこそ、敢えて言いたい。

 

この作品が本当に面白くなるのは、きっとここからである。

 

厳しい女上司が高校生に戻ったら俺にデレデレする理由3 ~両片思いのやり直し高校生生活 (GA文庫) | 徳山銀次郎, よむ |本 | 通販 | Amazon