読書感想:全力回避フラグちゃん!1

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 死亡フラグ、生存フラグ、恋愛フラグ、攻略済みフラグ、ヤンデレフラグ。創作上の中で大切な要素である「フラグ」というもの。それが可視化される、というのは講談社ラノベ文庫でかつて人気を博した某作品を読んでほしい次第である。ではもし、そんなフラグが確固たる自我を持ち己の意思で行動する、一つの生命であったのならば? それこそがこの作品であり、今現在youtubeで人気を博しているこの作品な訳である。

 

 

平凡な世界、かの世界で巻き起こる戦乱。その中で恋人との約束を胸に必死に戦い抜く青年、モブ男。

 

「立ちました!」

 

 そんな彼の目の前、突然一人の少女は姿を現す。その名はフラグちゃん。またの名を「死神No・269」。その名が表す通り彼女は死神、死亡フラグを司る存在である。

 

しかし、彼女は落ちこぼれである。それは何故か、彼女が優しすぎるから。死亡フラグを突き付けるという仕事が中々、対象者に入れ込んでしまうせいで出来ず、死神の典型的な例である機械的に命を回収すると言う事が出来ないからである。

 

 そして、モブ男という名前に何か引っかかるものもある読者様もおられたであろう。それもその筈。何故ならモブ男とは文字通り「モブ」であるから。フラグちゃんの訓練の為に作られた仮想世界、そこに作られた仮想人格だからである。

 

ある時は戦場、またある時はラブコメ的世界、更にある時は終末的世界。様々な状況を想定され用意された仮想世界。その世界のどこにでも存在するモブ男の魂を狩るべく、何とか死亡フラグとしての役目を果たそうとするフラグちゃん。

 

だが、何故かいつも上手くいかない。 クズでダメでスケベ、ダメ要素の三拍子が揃った、けれど時に優しいモブ男に振り回されるうちに、心が変化していく。殺したくないと言う心、恋心が芽生えていく。

 

そして、どんどんと入れ込んでいく。何者かに仕組まれたバグにより記憶を引き継ぎ、自我を確立させていくモブ男に惹かれていく。

 

「はい、またお会いしましょう、モブ男さん」

 

 これは、ダメダメな死神である「フラグちゃん」が生存フラグや恋愛フラグといった同僚たちと共にモブ男に振り回されていく作品である。同時に、ドタバタの混沌の中に一筋のラブコメが確かにある作品である。

 

しかし、この作品の大本はコメディである。故にこの作品は笑いこそが相応しい。肩の力を抜いて笑い転げるのが、もっとも正しい楽しみ方である。

 

混沌としたドタバタが、何も考えず笑えるコメディが読みたい読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

全力回避フラグちゃん!1 (MF文庫J) | 壱日千次, さとうぽて, Plott, biki |本 | 通販 | Amazon