読書感想:迷宮狂走曲 1 ~エロゲ世界なのにエロそっちのけでひたすら最強を目指すモブ転生者~

 

 さて、私には陵辱ものの良さが分からないが、そういったエロが好きな読者様もおられるだろう。私はよくは知らないが、陵辱と一口で言っても、その中には様々なシチュエーションが内包されているらしい。そういった要素のエロは、エロゲにおいて一つのジャンルを確立しており、そういったエロを専門にするブランドもあるらしい。

 

 

そのようなエロは、人によって好き嫌いは異なるであろう。そんな陵辱、といった要素を木っ端みじんに粉砕していくのがこの作品なのである。

 

 

伝説的な陵辱もののエロゲ、「あの深淵へと誘う声」、通称「アへ声」。苗床やら人体改造といった陵辱ものの要素が一通り集ったこの作品。しかしこのゲームは、剣と魔法のRPG要素も作り込まれており、一部ユーザーからはエロがおまけ、と言われる作品である。

 

「とりあえず最強目指すか」

 

この世界に転生した男、ハルベルト(表紙中央)。彼は主人公、ではない。言うなれば一般人、モブとして転生している。彼はこのゲームをRPGとして全て、極限まで極めたプレイヤーであった。ならばこのゲーム世界でまた、完全制覇と最強を目指すのも必然と言えよう。

 

「ハハハハハ! 経験値! 熟練度! 金!」

 

が、しかし。彼の攻略方法はこの世界の常識から言うと世間知らずで命知らず、言ってしまえば「狂人」の部類であった。そもそもこの世界の人間はHPがゼロになったら動けなくなりバッドエンド一直線なので、HPが減るのを極端に恐れる消極的思考が基本。そんな中、死ななきゃいいやという事で積極的に敵へ突進しHPが減るのも気にせず敵を殲滅する彼がどれだけ異端であるか分かるであろう。

 

あっという間に冒険者として有名となり、知らぬ所で「狂人」という異名で恐れられて。だがいつものようにあっけらかんと、ダンジョンをどんどん突き進んでいく彼。そんな彼の元には、いつの間にか彼に魅了された愛が重い奴だったり、信頼してくれる者が集まり始める。

 

奴隷として購入したノーム、ルカ(表紙右)は彼の狂人的ムーヴと同胞をあっさり殲滅していくその様に、恐怖の先に依存を見出し。彼と共に居る為に、自らの身体を作りかえて。

 

ダンジョンで助けた冒険者を、アイテム保存のための商店の店主として据えて爆速でレベリングさせたり。

 

中層で出会った、メインヒロインであるが色々ある天使、エル(表紙左)に出会い頭に最大火力を叩き込んで倒して奴隷にしたら。彼女に自分の存在が刺さり過ぎて、崇拝させてしまったり。

 

「いやぁ、【迷宮狂走曲】の人たちには足を向けて寝られんな!」

 

二度目になるが彼は主人公ではない、単なる酔狂な趣味人である。しかし、いつの間にか彼とその仲間の存在は希望になっていく。内実を知られぬうちに、尊敬されていくのである。

 

陵辱と鬱をしばき倒し突き進む、ドタバタに思わず笑えるかもしれない今作品。くすりと笑いたい読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

迷宮狂走曲 1 ~エロゲ世界なのにエロそっちのけでひたすら最強を目指すモブ転生者~ (オーバーラップ文庫) | 宮迫宗一郎, 灯 |本 | 通販 | Amazon