前巻感想はこちら↓
読書感想:才女のお世話1 高嶺の花だらけな名門校で、学院一のお嬢様(生活能力皆無)を陰ながらお世話することになりました - 読樹庵 (hatenablog.com)
さて、前巻を読まれた読者様がこの巻の感想を開いていると仮定し、ここからの感想を書いていきたい次第であるが、前巻の感想で、私は主人公である伊月とヒロインである雛子が、何処か「似た者同士」である、と書いたのを画面の前の読者の皆様は覚えておいでであろうか。どうやら似た者同士、というのは伊月と雛子だけではなく。今巻の表紙を飾っている、美麗もまた、伊月と似た者同士であったらしい、というのが判明するのが今巻なのである。
では一体、どのような部分で似た者同士なのだろうか。それはここからの感想の中で書いていきたい。
「早く、出ていって」
前巻の騒動の末、結局「お世話係」を続けることになり、いつも通りの日常に戻った筈であった。しかし、何処か雛子の様子がおかしく、何もしていないけれど何故か伊月に対し余所余所しい。画面の前の読者の皆様は、もうお分かりであろう。彼女が前巻の最後に芽生えた名もなき感情に振り回されている、という事は。
しかし、そんな事が伊月に分かる訳もなく。お世話係として未熟だから、と勘違いした伊月は更なる精進を求める。そんな彼に手を差し伸べたのが、雛子をライバル視する令嬢、美麗である。
自分が勉強を指導したにも関わらず振るわなかった彼に目を留め、自分も復習するという名目の元、彼へと勉強を教える事になり。彼女を師匠とし、彼女に指導を受ける事で。どんどんと、彼女と共に過ごす時間が増えていく。
何処か面白くない、もやもやする。そんな雛子の機嫌を取りながら修練に励む伊月。そんな中、彼は美麗の素顔に触れ、誰も知らぬ彼女の顔を目撃していく。
それこそが彼女と伊月の「似た者同士」。「らしくある事」。らしくある為に、努力し自分を変え、仮面をかぶってきた。だからこそ、分かってしまう事がある、お互いに。
「天王寺さんは、ちゃんとその想いと向き合っているのか?」
だからこそ、伊月だけは気付けた。縁談を持ち込まれた美麗の本心に。親の愛情を自分なりに受け取った結果、結果として自身の幸せを捨てようとしていたという事に。
「―――必ず、わたくしを選ばせてみせますわ」
それは、彼がいてくれたから気付けたこと。彼だけが自分を、何も通さず見てくれた。彼だからこそ、気付いてくれた。だからそれはきっと必然。美麗もまた、伊月に何処か惹かれだしたのは。
甘くて熱く、独特の面白さと甘さが、大きく発展はしないけれど、確かに一つ高まる今巻。
前巻を楽しまれた読者様は是非。
きっと貴方も満足できるはずである。
才女のお世話 2 高嶺の花だらけな名門校で、学院一のお嬢様(生活能力皆無)を陰ながらお世話することになりました (HJ文庫) | 坂石遊作, みわべさくら |本 | 通販 | Amazon