読書感想:異世界蹂躙 ―淫靡な洞窟のその奥で―3

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前巻感想はこちら↓

読書感想:異世界蹂躙 ―淫靡な洞窟のその奥で― 2 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、前巻の最後で魔導師の国は奴、ブラックウーズの手に堕ち、遺せたのは勇者の娘、メルティアとマリアベルという幼き希望のみ、という全てを奪われたと言っても過言ではない状況に追い込まれてしまったのは、前巻を読まれた読者様であればもうご存じであろう。希望は確かに残っている、それは確かである。が、しかし。絶望は彼女達を逃がしてはくれぬ。自らの本能に従うブラックウーズの魔の手は、すぐそばまで迫っているのが今巻なのである。

 

 

エルフの国を汚す淫獄、そこで繰り広げられる無機質な蹂躙と淫欲の宴は終わらない。希望は二人の娘、そして勇者が遺した聖剣。勇者の血筋を継ぐ者にしか扱えぬ、魔を滅ぼす聖なる武器のみ。

 

 その武器が保管されているのは、森の中に住まう獣人達の国。希望を求め、獣人達の国へと向かうメルティアとマリアベル。だがしかし、ブラックウーズの群れ達も彼女を追い獣人達の国へと向かう。その途上、全ては奴に飲み込まれ、贄となり糧となっていくのである。

 

森に住まう獣達が、ただ奴の通り道にいたというだけで飲み込まれ。近くに居合わせた妖精が飲み込まれ、淫獄へと囚われる。

 

そして、奴とマリアベルは再び向き合い、戦う事になる。聖剣の眠る神殿で。

 

先んじて潜入を果たし、群体である自分自身を各所に罠として配し。自身の腹の中へと飲み込むかのように、ブラックウーズは待ち受ける。

 

そんな中へ、飛び込んでいくしかない。獣人族の美姫、フォーネリス(表紙右)、妖精族の長、タイタニア(表紙左)をお供とし、乗り込んでいくメルティアとマリアベル

 

だが、彼女達はまだ幼き姫でしかない。そして、今までの蹂躙で知性を得たブラックウーズは狡猾に知恵を巡らせ罠を張り、次々と姫達を魔の手にかけていく。

 

フォーネリスが飲み込まれ、タイタニアが囚われ。マリアベルを先に進ませたメルティアが飲み込まれ、聖剣を前にしマリアベルまでもが捕まり。

 

「ありがとうございます、お父様」

 

けれど、僅かな隙を突きマリアベルの手に宿った希望の剣。聖剣の輝きは、ブラックウーズを吹き飛ばし新たな希望の誕生を告げる。

 

 これでめでたしめでたし・・・となればどんなに良かっただろう。しかしこの作品を読まれた画面の前の読者の皆様はそんなに甘くはないとご存じであろう。

 

 

希望の裏、消しきれなかったブラックウーズの欠片は新たなる絶望の種を生み出す。妖精の力を持ち、勇者の血筋の力を宿したより最悪な絶望を。

 

希望があるからより絶望が映える、と言わんばかりに一瞬の希望が輝く今巻。

 

シリーズファンの皆様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

異世界蹂躙 ー淫靡な洞窟のその奥でー 3 (ダッシュエックス文庫) | ウメ種, ぼに~ |本 | 通販 | Amazon