前巻感想はこちら↓
読書感想:この世界、わたしに都合がいいようです! - 読樹庵 (hatenablog.com)
さて、前巻の感想で私はこの作品について、クレイジーな奴等が多い、コメディに全振りした作品であると語った覚えがあるが、画面の前の読者の皆様は覚えていておいでであろうか。コメディ全振り、男に戻りたいアウローラは男に戻れるのか。その答えを今巻に求められている読者様に私は先に事態をお伝えしたい。 今巻は前巻とはまた違ったドタバタが巻き起こる事態が待っていると。
その中心となるのはアウローラだろうか。それは少し違うと言わざるを得ない。今巻の事態の中心となるのは、アウローラの父親違いの妹であるルウナ(表紙右)。
「ようやく会えましたね、姉さま♪」
アウローラと二人きりの時だけは、まるで甘えん坊の子猫のような顔を見せるシスコンが突き抜けている妹であり。
「わたしと姉さまだけの時間なのだ。そこに割って入るなど、たとえ神でも許されんぞ」
だが、彼女以外には母親である女帝譲りの苛烈な一面を容赦なく見せる彼女。そんな彼女は国民のアイドルであるアウローラとはまた違ったカリスマ性を持つ、「黒き戦姫」の異名を持ち帝国各地を駆け回り闘争に励む勇ましき皇女である。
そんな彼女を新たに加え過ごす日々が平穏無事に済む訳があるか、いや、ない事は明白である。
時に商業区のスラムにメモリアも加え三人で迷い込んだかと思えば、前世が男だからこその奇策であっという間に住人達を従えてしまったり。
「やはり姉さまが素晴らしいです!!」
更に時には、「魔の森」と呼ばれる巨大な古木型の魔物達の世界にルウナと彼女の部隊と共に挑んだかと思えば、職人である父親、ウェリタスにお願いして製作してもらったチェーンソーで開拓を成し遂げたかと思えば、ルウナの目覚めさせてはいけない一面を目覚めさせてしまったり。
正にドタバタ、前巻にも増してクレイジー、もとい個性的な登場人物達が追加された事が混沌を招かない訳が無い。前巻よりも更に、混沌の度合いが高まり様々な意味で笑える、暴力的なまでの笑いの魔法の波が襲い掛かってくるのが今巻なのである。
だが、それが面白い。変に奇をてらうのではなく、いっそ清々しい程にコメディに特化する。コメディだからこそ、シリアス不要。そう言わんばかりに、肝心なシリアスの場面が締まらずにすぐにぐだぐだなシリアスからコメディへと変わっていく。
故にこの作品は笑える、そしてそうだからこそこの作品は良いのである。
前巻を楽しまれた読者様、やっぱりコメディ全振りな作品が読みたい読者様は是非。
きっと貴方も満足できるはずである。
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