前巻感想はこちら↓
読書感想:月刊ニュータイプ 2021年6月号(忘れさせてよ、後輩くん第三回) - 読樹庵 (hatenablog.com)
さて、そろそろアニメの季節も移り変わるものであり、今放送中のアニメも徐々に完結へと近づいているが、皆様は今アニメを楽しまれているだろうか。私は楽しんでいる。因みにスーパーカブのアニメで、椎の水落ち(わかる人にはわかる話)が何処かのアバンかAパート終わり辺りで来るかと思っていたが、十話の終わりで来るという展開に少し驚かされた次第である。さて、前置きはここまでにして、本題。忘れさせてよ、後輩くんの方に触れていきたい次第である。
夏梅の叶わぬ恋、春瑠の叶わぬ恋。それは夏梅の兄である晴太郎の死から全てがこんがらがり、もどかしい思いが交わされる結果となってしまったのは、前回まで読まれた読者の皆様であればもうご存じであろう。では一体、その始まりには何があったのか。その始まり、六年前の夏へと意識を飛ばし、そこで何があったのかを語るのが今回のお話なのである。
厳しい親に反発し家を飛び出した晴太郎、兄の代わりと言わんばかりに親に押さえつけられた夏梅。彼の初恋の相手、春瑠。だがあの日、彼女の目は自分の兄に向いていると知ってしまった。自分の想いは決して届かぬ、と幼心に気付いてしまった。
抑圧される日々の中、救いとなっていたのは春瑠の存在。だが、親の手により引き離されそうになり。だがそんな中、離れた筈の晴太郎は弟を助ける為にその手を伸ばし、彼と共にバイクで駆けだしていく。
自分にはできない、春瑠の事を引き寄せたい、けれど自分は兄にはなれない。
「夏梅がオレの代わりになる必要なんかねえだろ」
「白濱晴太郎の偽物としてじゃなく、本物の白濱夏梅を好きになってもらえ」
悩む夏梅へと晴太郎が告げたのは、自分自身であればいいという答え。だが、それは最後の会話となってしまう。
もっと語っていれば、何か異なる結末もあったのかもしれない。けれど、そんなもしもはもう、ありえない。
この先に待っているのは哀しき今へと繋がる道。そこまでに待っているのは、どんな出来事なのだろうか。