読書感想:月刊ニュータイプ 2021年6月号(忘れさせてよ、後輩くん第三回)

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前回感想はこちら↓

読書感想:月刊ニュータイプ 2021年5月号(忘れさせてよ、後輩くん第二回) - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

さて、春アニメもそろそろ折り返しであり様々なアニメで後半へとつながる動きが出てき始めている頃かもしれないが、皆様今期のアニメは楽しまれているであろうか。私は楽しんでいる。

 

ついでに一つ質問であるが、画面の前の読者の皆様はシン・エヴァンゲリオンはもうご覧になったであろうか? まだ観ていないという読者様がおられるのなら、今月号は是非観賞してから読んでいただきたい。ネタバレがバリバリなので。ではここから、「忘れさせてよ、後輩くん」の第三回についての感想を描いていきたいと思う。

 

(以下感想↓)

 

さて、「陽炎の夏」が今まさに始まろうとしている。では、もし恋心に決着を付けなければどうなってしまうのだろうか? もし、死んだ人の面影を追い求め行き着く先まで行ってしまったのならば、どうなってしまうのだろうか。

 

その答えは自らの死、という哀しき終わり。夏梅の母は、精神科医の端くれとして今までに見てきた症例の最後を語る。「陽炎の夏」、それが訪れた患者は最後は病院に来なくなる。最後は愛する者の面影を追い、自らの死を選んでしまう、と。

 

【あの人がいたような気がしたんだけどな】

 

春瑠のSNS、そこに載せられたのは何も映っていない、只の風景写真。普通であれば嬉しい筈だった更新も、その一言が付いてしまうと胸をかき乱す。確かに、もう始まってしまっているのだ。夏梅の手の届かない所で、春瑠は確かに陽炎の夏に蝕まれ始めている。

 

「終わった初恋を忘れさせてよ・・・・・・後輩くん・・・・・・」

 

今も尚、春瑠の心を苛む兄の事は嫌いだ。けれど、そんな兄の偽物にしかなれぬ自分は一番嫌いだ。だけど、そんな自分へと春瑠は縋りつく。その心にあるのは、一体誰への思いなのか。

 

現状維持は許されぬ、それはもう分かっていた。だけど、この先は本当の意味で立ち止まれない。彼女を生かし、彼女と共に未来へ進む為にはその心を奪うしかない。

 

なれば、一体どうすればよいのか? 兄の偽物にしかなれぬ彼は、どうすればよいのか?

 

今は未だ、在りし日の幻影に幼稚な言葉をぶつける事しか出来ない彼。来月には、彼も少しだけ前に進めるのだろうか。