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読書感想:月刊ニュータイプ 2021年8月号 (忘れさせてよ、後輩くん第五回) - 読樹庵 (hatenablog.com)
さて、夏アニメもそろそろ折り返し、後半戦に至る頃であろうが皆さま、夏アニメはお楽しみいただいている頃であろうか。私は無論楽しんでいる。しかしこの記事においてそんな前振りはきっと、求められてはいないであろう。故にここからはさっそく、見逃せない最終回について触れていく次第である。無論、今回もまたネタバレに配慮せず思いっきり突っ走っていく予定なので、苦手という方はここでブラウザバックをしていただきたい。
ではここから先を読むという読者様は、既に読了された読者様、もしくはネタバレを気にしないという読者様であられると言う前提の元、話していこうと思う。
さて、前回の最後で夏梅と春瑠は離別を選択したわけであるが、果たしてこれで終わりだろうか。ここで終わっていいのだろうか? 否、そんな訳はない。離別を選んでも恋心は簡単には途切れない。ここで駆けださずしていつ駆け出す。そういう事なのだ。
冬莉との邂逅の後、忘れ物を取りに行こうとあの日の待ち合わせ場所へと向かう春瑠。
その裏、母親から明かされた真実で夏梅は兄の本心を知る。罪の意識と自責の念に囚われていた、だからこそ彼に初恋だけは渡したかった。あまりにも不器用に過ぎるけれど、其処に会ったのは確かに兄としての愛。その愛を知り、夏梅もまた、駆け出す事を選ぶ。もう立ち止まらない、一瞬だけでも取り戻す為に。
運命的に、まるでここからはお前だけの道だと言わんばかりに壊れたスクーターを置き、駆けていくのは春瑠のいる場所。あの日の約束の場所。
「じゃあね、ワタシの初恋。さようなら、大好きだった憧れの先輩」
「だいっきらいだっだよ、たった一人の兄さん」
そして告げるは恋、そして別れ。初恋の幻影、追い求めた兄の幻影を振り切り別れを告げ。二人は確かに陽炎の夏を越え、未来へと歩き出す。
まだ本当の意味で二人の恋は始まっていないのかもしれない。けれど、確かに始まったものはある。そして彼の知らぬ間に、始まろうとしている夏がある。
一つの夏が終わり、また始まる夏がある。その新しい夏を、いつか読める事を願いたい。