読書感想:∞射程魔術使いの俺は、やがて学園の頂点へ2

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前巻感想はこちら↓

読書感想:∞射程魔術使いの俺は、やがて学園の頂点へ - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、前巻の感想で最も効果的な戦術とは何か。射程外からの蹂躙である、と私は語ったかと思う。勿論それは正しき事であると思っているし、一方的に、何のリスクも負わぬ攻撃を加えるのは正しい戦術である、と思っている。

 

だがしかし、忘れてはいけないことがある。この作品の主人公、セルトが通うのは勇者を育成する学園である。そして、勇者と言うのは人々の希望となって、強大な敵と正面から激突するものである、とこの世界においては相場が決まっている。

 

 

 

そんな学園において、セルトの在り方は許されるものであろうか。無論、そんな事は無い。故にセルトには、学園上層部から学園全生徒の参加する勇傑祭で優勝できなければ退学、という理不尽な命令が課されてしまう。

 

「―――という訳で、面倒だしもう退学でもいいかなって思ってるんだが」

 

だがそんな命令もどこ吹く風。寧ろ面倒事が嫌いな自分にとっては好都合。フューラやレリアとの約束の為にとりあえずは何とかする道を探そうとするも、まぁ退学ならばそれでもいいかと気ままに構え。

 

 だが、そんな余裕はあっという間に打ち砕かれる事になってしまう。きっかけとなるのは何か。それは気が付かぬ間にセルトが首を突っ込んでしまっていた新たな面倒事。ひょんな事から助けた王族の少女、レイラ(表紙右)。彼女の父である国王との邂逅、その中で親族関係が一切不明だった幼馴染、レリアが実は王族だったと言う衝撃の真実が判明する。

 

しきたりにより王宮で暮らす事を請われ、セルト達と引き離されそうになるレリア。今いる家族と実はいたけれど、実感のない家族の間で彼女が揺れる間に勇傑祭は刻一刻と迫り来て、更には魔族達もまた目的のために王都へと侵略の手を伸ばす。

 

 勇傑祭本番、王都を舞台に学園十傑達がこれでもかと己の武をぶつけ合い死闘を繰り広げる中、王族を狙い魔族達がその手を伸ばす。ならば、セルトが選ぶべきはどちらか。

 

「必ず勝つ。勝って、レリアに選択肢を与えれば」

 

奴等は自身の決意を踏みにじった。自分だけが抱えたエゴを踏みつけた。

 

何より大切なもの、それは自身ではなく家族同然の幼馴染。

 

「受け取れ。俺からの冥途の土産だ」

 

 そして魔族は図らずも、彼の逆鱗に触れた。なればこそ、眠れる獅子が目を覚まさぬ道理はなく。そして獅子の怒りに触れた者の命は、あっけなく散るのも道理である。

 

前巻にも増して、確かに一段と独特の無双の面白さ高まる今巻。

 

前巻を楽しまれた読者様、やっぱりファンタジー好きな読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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