読書感想:∞射程魔術使いの俺は、やがて学園の頂点へ

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問:限りなく射程が長い攻撃と言えば?

 

答:無限掌(創聖のアクエリオン)(スパロボ脳な真白優樹である)

 

 

さて、突然ではあるが画面の前の読者の皆様。如何なる強敵も確実に葬り去る方法とは一体なんであると思われるだろうか。毒物か何かを用いて攻撃を仕掛ける事だろうか。否、毒物が効かぬかもしれない、ならばどうすべきか。その答えは簡単、相手の攻撃が届かない距離から先手必勝、相手に攻撃させずに一方的に攻撃を加えてしまえばいいだけである。

 

 そう、遠距離からの攻撃はそんなに対応できるものではない。例えばゴルゴ13の狙撃は誰にも避けられぬように。だがそれを繰り返していては、盛り上がりは生まれない。しかしそんな戦い方に傾倒し、相手の攻撃が届かぬ所から一方的に蹂躙する戦い方をする少年がこの作品の主人公である。

 

彼の名前はセルト(表紙中央)。人間と魔族が争いを繰り広げる世界で、魔族の領地と隣り合った辺境の村で暮らすが故に、そんな戦い方を身に着けた少年である。

 

ある意味で考えれば理にかなっているかもしれない。強力な相手に正面切って命を懸けて戦うくらいなら、命の危険が極力少ない戦い方をした方が良いのだから。

 

 が、しかし。非常に面倒くさがり、効率を求める彼の生き方は受け入れられぬ所であった、彼が知人の勧めに嵌められ入学したところは。その名は「クレシエンド学園」。魔族と正面きって戦う勇者を育成する学園である。

 

魔族と正面から戦うのが華とされる学園で、彼の戦い方は異端。故に彼は嫌われてしまう。

 

だがしかし、それでも彼はその戦い方を貫く。何故ならその根底にあるのは臆病だから。かつて魔族に襲われたトラウマという苦い記憶が、彼に常識外の訓練をする活力を与え、彼を∞射程の魔術へと走らせていた。

 

無論、遠距離に特化した彼だけでは戦えぬ。けれど、彼には生活の中で出会い、ぶつかり合いながらチームとなり、共に成長していける仲間がいる。

 

勇者の娘であり、彼により己を縛る鎖より抜け出したフューラ(表紙右)。

 

セルトの幼馴染であり、セルトを一途に愛する常識外の防御魔法の使い手、レリア(表紙左)。

 

彼だけで足りぬ所は勿論ある。ならば補ってしまえば良い。それが出来る仲間は今ここにいる。背を預け合える仲間がいる。

 

「最初から認めてもらうつもりで戦ってませんからね。俺は俺なんですから」

 

だからこそ彼は貫けるのだ。例え誰に批判されようと、己の磨きぬいた戦い方を。

 

決して強いだけではなく、無論最強という訳でもなく。弱さという人間らしい一面があるからこそ、より強さが輝く。

 

だからこそ、一方的に叩き潰すその戦い方が熱さと面白さを齎してくれるのである。

 

 

袋叩きが好きな読者様、最強な主人公が好きな読者様にはお勧めしたい。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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