さて、自分の残りの寿命が見えるようになったらどうなるか、という話は某テイコウペンギンの動画で行われているのでそちらを是非に見てみてほしい。ではもし、画面の前の貴方は自分の寿命がコインとして物質化され、しかも強制的にそれを払わなければならないとしたら貴方はどうされるであろうか。
彼等は、自らの残りの命を物質化したコインを糧に力を発揮し、他人からコインという形で命を巻き上げる。
だが、それは彼等が望んで起こした行いではない。彼等は巻き込まれただけである。理不尽に、否応なく。拒めぬ状況に追い込まれ、仕方なく強いられているだけなのである。
旭日市を連日賑わせる「フォールド」と呼ばれる魔物達。その内の一体である、人間達から「命」をカツアゲする「カツアゲ仮面」。
かの魔物の正体は元人間。普通の不良的高校生である春樹(表紙中央)が「アポトーシス」と呼ばれ、「魔女」とも呼ばれる存在により魔物へと変えられた姿である。
アポトーシスは求める、膨大な量の寿命を。それを何に使うかも言わず、期日になれば容赦なく命のへそくりまでも取り上げ、徴収する。
一秒ごとに消費していく命を補い、生きる為に。いつも寄り添ってくれる少女、小夏(表紙中央下)と共に命の回収に励む春樹。
味方であるはずの魔女ですら敵、そして世界には彼等の敵が多すぎる。警察にだって追われてしまうし、謎の完全無敗のヒーロー、「ブレイズマン」(表紙中央奥)までもが彼等の前に立ち塞がる。
それも仕方のない事かもしれない。だって彼等は世間から見れば、「化物」だから。理不尽に自分達に危害を加える魔物でしかないから。
だが、彼等だって人間である。理不尽の被害者である。そして、ごく当たり前の青春を送っていたはずの子供達なのである。
『やることは単純だ。囚われのお姫様を俺達で助け出す。そんで―――』
『俺達の青春を奪い返す!』
だからこそ、負けられない。だからこそ、時に作戦の成否で仲間とぶつかり合ってしまったとしても、また共に立ち上がり戦える。決着をつけるべき真の敵、全ての元凶へと彼等は果敢に挑んでいく。まるで自分の命を文字通りに燃やし尽くすかのように。文字通りの「命がけ」で。
この作品は正にアクション映画の如く、疾走感のあるアクションが見所な作品である。そして、悪の仮面を被らされた日陰者達が反逆し革命の爆撃を繰り出す、概念的な意味で命が輝いているといっても良い作品なのである。
ダークヒーローが好きな読者様、アクションが好きな読者様にはお勧めしたい。
きっと貴方も満足できるはずである。