読書感想:経験済みなキミと、 経験ゼロなオレが、 お付き合いする話。その2

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前巻感想はこちら↓

読書感想:経験済みなキミと、 経験ゼロなオレが、 お付き合いする話。 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

尊い、正に尊い。百万の言葉を費やすよりもただ一言、これだけで全ては語りつくせる、と言っても過言ではない。以上、証明終了。

 

・・・と終わらせても問題ない、訳もないのでここから先は真面目に語りたい。しかし予め画面の前の読者の皆様にお断りしておきたい次第であるが、私は今、心の中のラージャンが暴れ回っている状態の為、もしかすると読みにくい感想になるかもしれない事をご承知いただきたい。

 

前巻の感想で、私はヒロインである月愛をまるで万華鏡のよう、主人公である龍斗をまるで真っ白なキャンバスのようであると書いた。

 

そんな二人は、前巻での始まりを経て、新たな二人だけの色を得ていく。だがしかし、それだけでは終われぬ不穏な要素はすぐ近くにある。それこそは海愛。龍斗の初恋の相手であり、月愛と反目し合う彼女の妹である。

 

「・・・・・・リュートは、『そんな爪してて邪魔じゃない?』とか言わないんだね」

 

二人でいった海でのデート。自慢のネイルを貶すどころか褒められる。それは月愛にとって初めての経験。初めての経験、どんどんと好きになる心。

 

だがその裏、海愛の今更の、周回遅れの恋心はどんどんと膨れ上がり、彼への想いに心狂わせ暴走させる。それはただ、彼が好きなだけではなく、月愛への歪んだ反抗心もまた胸に。

 

その行動は、海愛との浮気疑惑を巻き起こし。月愛と龍斗のすれ違いを招いてしまう。

 

「だから、裏切られたときのことなんか考えてなくて・・・・・・むき出しになってた心がどれだけ傷つくか考えたら、確かめるのが怖かったんだ」

 

すれ違いの先、もう一度向き合い見出した彼への想い。

 

「・・・・・・ずっと、落ち着ける場所を探してたんだ」

 

やっと見つけた、自分だけの居場所。受け止めてくれる彼を無くしたくないという、一途な想い。

 

「・・・・・・なんであたし、初めてじゃないんだろ」

 

「初めてがよかったよぉ・・・・・・」

 

だが、その心を揺らす、まるで染み出したかのような心の澱がそこにある。それは彼女の後悔。全部龍斗と一緒が良かった。心を揺らす切ない慟哭。

 

そんな彼女へ、龍斗は何を告げるのか。

 

「デートの場所が初めてじゃなくても・・・・・・白河さんが俺といるときに感じる気持ちが、今までとは違うものだとしたら・・・・・・俺はそれが嬉しい」

 

それは偽らざる本心。初めてじゃなくても、自分は初めてを沢山もらえているという感謝の想い。

 

「白河さん、初めてのこと、俺といっぱいしよう」

 

そう、例え初めてじゃないとしても、初めてな事なんていくらでもある。同じ時間を歩いてきていても、全く同じ人間なんているわけない。だからこそ、いつだって「初めて」は始められるから。

 

「・・・・・・心が近づくと、自然と相手に近づきたくなるんだね。リュートと付き合って、初めて知ったよ」

 

だからこそ、今知れたこの想いも「初めて」の気持ち。本当に好き合って、恋し合うからこそ知れた気持ち。

 

 

正に完璧、何処まで行っても直球ど真ん中、金太郎飴のように何処を切り取っても甘くて温かい、優しき青春。そんな日々の中で、どんどんお互いを好きになっていく。お互いが特別になっていく。お互いをお互いの色に変えていく、新しい色になっていく。

 

その様子が、緻密に丁寧に愛を以て描かれて。少しずつ深まっていくからこそ愛おしくなる。万雷の拍手を送りたくなる。

 

だからこそ、改めて私は全てのラブコメ好きの読者様に声を大にして叫びたい。

 

画面の前の読者の皆様、刮目せよ。この作品こそ、青春ラブコメの新たな金字塔の一つである。

 

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