読書感想:勇者の息子の超・商人道! 幼なじみが美少女魔王になって求婚してきたんだが

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定められた道、そのまま進んでいけば将来安泰な道。そんな将来へ向けての道というものは、時に用意されていたりするものであり、そのような道を前にされている読者の皆様もおられるかもしれない。だがしかし、そんな道を前にして、自分の夢を追うという選択肢を取れる者を何と言えばよいのだろうか。愚者か、それとも勇者か。その答えは、進んだ先の景色でしか判断できないものなのかもしれない。

 

そのままいけば私兵団の団長として、類まれなる士族になれるはずだった。冒険者となれば、その武を生かして大活躍できる未来だってある筈だった。

 

『僕はここを出て、商人になります』

 

が、しかし。武ではなく財でこの世界で戦いを挑みたいと前述したどちらの道も選ばず、自分だけの夢、大商人になりたいという夢を追う事を決めた少年がいた。彼の名前はレッシュ(表紙左)。剣星と呼ばれた勇者の息子であり、彼もまた弓術を始めとする武術に類まれなる才能を持つ少年である。

 

商人になりたい。世界を動かせるような商人になりたい。預けられた伯爵の家で伯爵を説得し、結果的に認めてもらい旅へと飛び出すレッシュ。

 

 だがしかし。頼れる二人の仲間を手に入れ旅を始めたレッシュの旅路を悩ます影が一つ。その名はファルネット、通称ファル(表紙右)。伯爵家の娘でありレッシュの幼馴染であり、彼との約束を果たす為に何と魔王になって帰ってきた愛深き幼馴染である。

 

時に街を襲う水没の危機を彼女の眷属の力を結果的に利用し解決したり。また時には、彼女との取引でファーストキスをする事になったり。

 

 旅は順調、に見えてファルのおかげでドタバタだらけ。だが、そんな旅の中でとある事実が判明した時、レッシュとファルの間の絆に罅が入る事となってしまう。

 

それはファルの父親である伯爵の罪。言えるわけがない。まさかレッシュが―――なんて。

 

 だがしかし、例え自身の中に眠っていた驚愕の事実が判明したとしても、レッシュはめげない。立ち止まる事無く、彼は目の前の難題へと立ち向かう。

 

「商売や物流に、国境はない。だから僕は冒険者じゃなく商売の力で、この大陸全土を平和にしたいと思ってる!」

 

その胸に燃えるは見果てぬ夢。商売という、どんな場所でも平等な力を用いて目指す、この世界を一つにしたいと言う、ファルのためでもある夢。

 

だからこそ進める。彼は、彼のままに。

 

作者である上総朋大先生のファンである読者様、明るく軽めの商売ファンタジーが好きな読者の皆様にはお勧めしたい。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

勇者の息子の超・商人道! 幼なじみが美少女魔王になって求婚してきたんだが (ファンタジア文庫) | 上総 朋大, ぷきゅのすけ |本 | 通販 | Amazon