読書感想:お見合いしたくなかったので、無理難題な条件をつけたら同級生が来た件について

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さて、突然ではあるが画面の前の読者の皆様。結婚と言う事柄は一つの未来のゴールの形ではあるが、そこに至るまでの始まりは普通に恋をする事から始めるのが一番であると思われるだろうか。それとも、お見合いから始めるのも一つの手段であると思われるだろうか。

 

 

様々な事情が絡み、男女ともに結婚可能年齢が十五歳まで下げられるという、現実でも起きてもおかしくないかもしれない、一つの政策が実施された日本。その片隅、上流階級の家庭出身の、いわゆるお坊ちゃんである少年、由弦はとある事情で頭を悩まされていた。その事情とは、祖父がよくお見合いする事を求めてきて、早くひ孫の顔を見せてほしいと急かされている事。

 

あまりのしつこさに、由弦ははっきりと断る意味で、まるでかぐや姫が出した無理難題のように、難しすぎる条件を出す。

 

「雪城愛理沙です。初めまして・・・・・・では、ありませんでしたね」

 

が、しかし。彼が出した「金髪碧眼の美少女」という条件に見事に合致している少女を祖父は連れてきてしまう。その少女こそ、今作品のヒロインである、由弦のクラスメイト、愛理沙(表紙)である。

 

お見合いの場に引っ張り出され、級友同士ではなくお見合い相手同士として顔を合わせた二人。そんな二人は、互いにお見合いに悩まされているというお互いの状況を知り、愛理沙は由弦へと提案する。お互いの利害の一致の為、嘘の婚約をしないか、と。

 

 

こうして奇しくも結ばれた、二人の協力関係。

 

そこから始まる、二人の一対一のお付き合い。今までは何の接点もなかった二人は、協力関係となった事でお互いの全てを、少しずつ知っていく。

 

家庭環境に問題を抱え、どこか心を凍らせていた愛理沙は由弦の家族の優しさ、そして彼自身の何処か斜に構えた中にある優しさと男の子らしさを知り、少しずつ心を溶かし出し。

 

今まで級友という関係なだけだった、何処かクールな印象しかなかった愛理沙が本当は家庭的で、普通の女の子であるという事を由弦は知り、その心に少しずつ変化が訪れ。

 

ある時は二人でぎこちなく自撮りをしたり。またある時は、二人で親交を深めていたというアリバイ作りの為にプールへ出かけたり。

 

 

ここまで読んでいただけた画面の前の読者の皆様ならもうお分かりであろう。確かにこの二人は、お見合いと言う普通の人間ではありえぬような始まりから始まった。だがしかし、そこから始まったのは、真っ直ぐなラブコメ。何も知らぬ状態から少しずつお互いの事を知り、少しずつ心の距離を近づけ惹かれ合っていく。そこにあるのが恋でなくして、一体何があると言うのか。まさにこの二人は、出会うべくして出会ったというより他にないのではないか。

 

「いや、綺麗だと、思ってね」

 

「花火が、ですか?」

 

「勿論、花火だよ」

 

例え素直に言えずとも、まだちょっとだけ遠くとも。言葉は無くとも、心地よい。

 

そう、確かにもう始まっているのだ。お見合いから始まる、一対一の純粋な恋模様は。

 

 

真っ直ぐ王道なラブコメが読みたい読者様、心萌えたい読者様にはお勧めしたい。きっと貴方も満足できるはずである。

 

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