読書感想:Fランク召喚士、ペット扱いで可愛がっていた召喚獣がバハムートに成長したので冒険を辞めて最強の竜騎士になる

 

 さて、荒野の運び屋さんと言えばグスタフであり、心を銃弾として武器としながら手紙を運ぶのはテガミバチと呼ばれる子供達であるが、その辺りは割と昔のアニメの知識であるので覚えなくても良いものとして。運び屋、というのは時にアングラなものも運ぶイメージがあるのは私だけだろうか。時に追手のような者とドンパチ繰り広げたりしながらも目的のものを運び届ける。そんな職業の青年がこの作品の主人公となるのである。

 

 

魔王や魔物が存在し、人間と争いを繰り広げているとある異世界。この世界で一般的な職業である冒険者として活動する青年、ジェイ(表紙左)。彼は冒険者の中ではシア高ランクであるSランクの冒険者でありながら、特に気取る事もなく。更には召喚士であるも、何故か呼べるのはキュックと名付けたトカゲのみであり、故にFランク召喚士として蔑まれながらも、日々を過ごしていた。

 

「キュック、おまえなのか?」

 

 そんなある日、強力なスライムとの戦いの中、魔力を注がれたキュックは突然、竜の姿へと変わる。攻撃力も防御力も更に段違いとなった相棒、更にゴブリンに襲われた新人冒険者、フェリク(表紙右)を助け共にクエストを受けた事で、感謝される仕事が向いている事を知り。冒険者家業を休止したジェイはキュックと共に運び屋として活動を始める。

 

報酬次第で何でも運ぶ、その信条の元に仕事をする彼の元に持ち込まれるのは様々な依頼。その依頼の中、様々なものが見えてくる。

 

魔王軍と戦う兵士として志願した兄を心配する妹からの手紙、死ななければ帰れない中で魔族の軍勢に襲われ、帰す為に魔族を相手に立ち回り。

 

恋焦がれる相手の裏の顔も知らぬ令嬢からの手紙の配達依頼で、あまりの下種さにキレてぶちのめしたり。

 

軍からの依頼を受けた森の魔女からの依頼で書類を届ける中、故郷に忘れ物を取りに行きたいフェリクもついてきて、彼女の家で魔物達を倒したらそこが重要な拠点となったり。

 

フェリクの思い出の別荘、そこを占拠する盗賊を退去させようとしたらお頭を召喚術で従え結果的に部下が出来たり、最前線に秘密兵器である平氏の少年を届けたら悲しい激突が待っていたり。

 

「ジェイさんの人柄と能力が、みんなについにバレはじめたのが嬉しくて」

 

依頼に関わる悲喜こもごも、時に戦い時に届けて。そんな中、運び屋としてジェイの名は売れていく。どんな時でも誠実で、そして戦力としても頼れる彼の良さが徐々に世の中に広まっていくのである。

 

王道的な逆転ものの面白さがあるこの作品、人生逆転の爽快感を味わいたい読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

Fランク召喚士、ペット扱いで可愛がっていた召喚獣がバハムートに成長したので冒険を辞めて最強の竜騎士になる (ダッシュエックス文庫) | ケンノジ, 三弥 カズトモ |本 | 通販 | Amazon