読書感想:聖剣士さまの魔剣ちゃん 1~孤独で健気な魔剣の主になったので全力で愛でていこうと思います~

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問:人の姿に変わる剣と言えば?

 

答:アリア(聖剣の刀鍛冶)(若干ネタが古い、そしてレーベルが違う)

 

一体どういう訳かと聞かれれば、そういう訳であるとだけ言いたい。「血に塗れた豊かな人生」という名を持つ魔剣、リーシュ。

 

それは誰かと聞かれれば、表紙左の美少女であると答えるしかない。つまりはそういう事である。彼女は聖剣ではなく魔剣。しかも珍しい人の姿に代わる事のできる魔剣なのである。

 

そも、聖剣とはこの世界においては乙女が姿を転じさせたもの。そして名も姿もとっくに捨て去った筈のもの。そして魔剣であるリーシュは、そこらの聖剣とは比較にもならぬとんでもない力を持っていた。

 

一振りすれば海を割り。更には使用者の身体の痛みを打ち消して行動させるという能力を始めとして、本来一つしかない筈の能力を何個も持っていて。

 

そんな彼女の主となった成りたて新米聖騎士、ケイル(表紙右)。彼が唐突にいった一言は何だったか。

 

「かわいい。すごくかわいい」

 

「僕は―――この魔剣ちゃんに生涯を尽くして仕えます」

 

そう、彼はリーシュに一目ぼれしてしまった。そして名誉である筈の聖騎士の位を簡単に捨て、彼女と共に生きていく事を望んだ。

 

そんなこんなで、リーシュを連れて辺境へと居を移し、生活を始めたケイル。

 

二人の旅のお供兼監視役の少女、シノアこと矢文ちゃん。

 

辺境で出会った聖剣が生まれてきた時からを知るハイエルフ、セリス。

 

そんな愉快な仲間達を得てケイルとリーシュが繰り広げるのは、笑いと刺激に満ちた楽しい日々。

 

時にリーシュの可愛さに悶えたり。時に、リーシュの何かを切りたい衝動に振り回された挙句野菜を大量に切る事になったり。時に、何故かセリスが犬になったり。

 

だが、そんな日々の中。リーシュの心の中に迷いが広がる。自分は魔剣だ。切る事が至上命題であり、故にケイルを幸せにすることは出来ないと。

 

だが。そんな彼女へとケイルは。

 

「僕は君が好きだ。だからずっと一緒にいたい」

 

真っ直ぐに、溢れ出す思いを言葉に変えて。彼女の心へ届けとばかりに真摯に告げる。例えどんな障害があっても、彼女が導く道の先が破滅だとしても乗り越えて見せると。

 

言うなれば、この作品は王道ド直球のファンタジーである。そして同時に、心から搾り取られるかのような笑いに満ちたコメディである。更に、恋心に一直線な魔剣の主が七転八倒しながらも頑張るラブコメなのである。

 

リーシュが可愛い、それは世界の常識。そしてこの作品がそれだけではない奥深さがあるのも、また常識なのかもしれない。

 

心から笑いたい読者様、王道なファンタジーが好きな読者様にはお勧めしたい。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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