読書感想:わたし以外とのラブコメは許さないんだからね

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さて、突然ではあるが画面の前の読者の皆様。貴方はラブコメ作品の終着点として告白で終わるというのは許せる派閥であろうか。出来れば告白の先も読んでみたいと思われる派閥であろうか。

 

その点においてはこの作品は後者であるのかもしれない。何故ならば、この作品は告白の後のエピローグ、告白が成就し二人が付き合いだす事から始まるのである。

 

 

一年間のアプローチの果て、見事に想いを成就させ付き合いだした一組のカップル。主人公である希墨はお人よしで器用貧乏、いわゆる隠れハイスペックな少年。そして彼女でありヒロインであるヨルカ(表紙)は孤高と呼ばれた姿に気の強さと恥ずかしがり屋な心を隠した少女である。

 

そんな二人の付き合いは一年間の醸成期間を経たとは思えぬ程に初々しくて、こそばゆくて。

 

LINEの交換に失敗していたのかと不安になって、催促してしまったり。

 

学校の先生に嫉妬してしまい、二人でいる時は名前で呼ぶ事を提案したり。

 

球技大会で自分の知らない彼氏の特技と、知らなかった男の友情を目にして思わず声を上げてしまい。

 

ひょんな事から彼の家にお泊りする事になってしまって一緒に登校したり。

 

そんな何気ない日々の中、どんどんと深まっていくのは希墨とヨルカのお互いが好きという想い。

 

特に、ヨルカの内心の変化と不意に訪れるデレにはすさまじいものがあるのがこの作品である。

 

「がんばった人には、ごほうびでしょう」

 

「嘘。離れないでいて、一生」

 

頑張った彼氏にご褒美と親愛を示すかのように優しく抱き着いたり。

 

「希墨が、わたし以外を好きになるなんて絶対許さない!」

 

彼を振り回してしまったのは自分だけど。それでも彼が誰かのものになるのは我慢ならないから。孤高の仮面を脱ぎ捨てて、全力で自分の激情を叩きつけて。

 

この作品は使い尽くされたかの如く、テンプレなイベントが目白押しの作品である。だが、だからこそ。それは安心の王道が目白押しという事でもあるどっしりと安定した支柱が立っている事と同義なラブコメであり、告白後から始まるからこそ既にフラグも何もかもが成立した、お互いがお互いを向いており後は恋人同士の形を作るだけだからこそ、どこか手探りでもどかしくいじらしい触れ合いがこれでもかと甘いラブコメなのである。

 

王道好きなラブコメ好きの読者諸兄には是非読んでいただきたいと思う。ヒロインが固定だからこそ面白い、ツンデレ若しくはクーデレ好きな読者様にも是非読んでみてもらいたい。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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