前巻感想はこちら↓
https://yuukimasiro.hatenablog.com/entry/2020/06/11/235845
さて、何だかんだとゆるゆると続いてきたこの作品もとうとうクライマックスである。口絵でクライマックスと言っているからこそ多分クライマックスの筈である。
ではゆるゆると続いてきたこの作品、最後は一体何を行うのだろうか。それは言うまでもないだろう、決戦である。北欧神話における最終戦争、言わばラグナロク。
ラグナロクの始まりは既に告げられていた。前巻において出現したかの巨人。世界は確かにやり直したはずだった、だけどそれでも何も変わらずというのは無理だったのだ。
一度封を切ってしまえばもう止まらない。そう言わんばかりに、巨人達の侵攻が同時多発的に巻き起こり、まずは港湾都市を手始めとし世界は瞬く間に蹂躙されてゆく。
そんな最中、オーディンとしての権能を取り戻したヒカルは巨人を食い止める為に世界中を駆け回り。だけどそれは、手に届く範囲の脅威を排除しているだけ。根本の解決にもなりはしない。
故にこそ、神々の転生者達は仮想ラグナロク空間へと集い最後の決戦は唐突に幕を開ける。
既にトールの生まれ変わりと判明していたタクミ。彼女だけではない。
ユカリも、ライタも、リキヤも。今までヒカルとサクラが関わってきた者達もまた、神々の生まれ変わりで。
ヒカルに率いられ各々が戦場へと飛び出し。天地鳴動の戦いが繰り広げられる中、未だ記憶が戻らぬサクラは、そもそも何故ロキはオーディンと敵対したのか、という疑問へとぶち当たる。
生まれ的にはそもそも敵であったはず。だが神話の世界で彼等は義兄弟。そしてヒカルとサクラ、オーディンとロキが結ばれなければ世界は滅ぶ。何故か?
その理由こそ、全てを終わらせる鍵。そして、神々の時代から続く人と何ら変わらぬ恋の営みだったのだ。
それが分かったのなら、なんとかなる。なってしまう。だってこれはハッピーエンドが約束されたラブコメだから。
「けっきょく何だったんだろ、ってさ」
「別に何もないさ」
そして世界が元通りになったように見えて、全く違う道を歩き出して。巨人と言う脅威が不定期に現れるようになったとしても、何もない。
だってこれはバトル系の作品ではなくラブコメだから。ただ、宮本サクラという一人のヒロインが可愛いだけの作品だから。
これは全知でも全能でもない、平凡でありきたりな、神代より続く恋の物語。
言ってしまえばそれだけ。だからこそヒロインが何処までも可愛い。それは間違いない。
画面の前の読者の皆様もどうかゆるりと楽しんでみてほしい。