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読書感想:10年ぶりに再会したクソガキは清純美少女JKに成長していた 4 - 読樹庵
さて、前巻で旧クソガキ三人組の恋が動き出した途端に朝華が怒涛の勢いでスタートダッシュを決めて、一気に逃げ切り体制へと移行しつつあるわけだが。出遅れてしまった未夜と眞昼がどうするのか、と気にされている読者様もおられるかもしれない。未夜に関しては、まだまだ恋を無自覚であるが故に更に遅れてしまうかもしれない。では眞昼は? 今まさに恋を自覚した彼女であればまだ、朝華に並べる可能性がある、と語られていくのが今巻である。
そして眞昼と未夜にしかないアドバンテージは確かにある。夏休みのようなまとまった時間が無くなったら、朝華は接触できるチャンスが大いに減る。つまりは彼女達の好機、なのだ。
「うん、いつもの殺気と言うか、覇気がないもん」
しかしまだ、そこまでは至らず、夏休みは明けて。眞昼の誕生日が迫る中、彼女だけはどこか心ここに非ず。そんな中で偶々土曜日であった眞昼の誕生日がやってきて、朝華もお祝いの為に集合する事になり。
「応援してくれるよね、眞昼ちゃん?」
お祝いの席でふと問いかけた朝華の気持ち、帰ってきたのは真っ直ぐな答え。だけど応援してくれるか、という問いかけに、朝華と勇のあり得る未来を予想してしまい、嫌だと心が叫ぶ。でも、自分も好きだと言い返すことは、できなくて。
「なんか、昔と変わっちまったなぁ」
だけど、変わらぬものなんてない。勇の思い出の動物園が知らぬ間に変わってしまったように。以前の変化はもう、気付いた時には起きていて避けられなかった。そして今、自分の前には夢には続くけれど勇とは離ればなれになる道があって。もう手放したくないという心の叫びが頭の中をぐちゃぐちゃにかき乱して、思わず好きと言う気持ちを溢れさせてしまう。
「ずっと、一緒にいたい」
自覚した時にはもう言葉は取り消せない、言ってしまったと言う混乱で逃げてしまう。でも、逃げちゃダメだ。夕陽に偶々出会って思いを聞かれて、溢れたのは偽らざる自分の想い。
そして心を押すのは、先輩の言葉。一度きりの人生、一度躓いたくらいで諦めたのならもったいない。
そう、そもそも諦められる訳もなくて。朝華に奪われたくもない訳で。
「だからまだ、保留にしておいて」
だけどまだ妹だから。だから振り向かせて見せる、イエス以外の答えは聞く気もないと真っ直ぐに伝えて。眞昼も朝華に宣戦布告し、ヒロインレースに名乗りを上げるのである。
重い思いがまた一つ、一方通行の関係性が三角関係になる今巻。シリーズファンの皆様は是非。きっと貴方も満足できるはずである。
10年ぶりに再会したクソガキは清純美少女JKに成長していた 5 (オーバーラップ文庫) | 館西夕木, ひげ猫 |本 | 通販 | Amazon