読書感想:絶滅騎士の魔導教室 1.訳あり最強騎士と落ちこぼれ生徒会長

 

 さて、絶滅動物、と言えば画面の前の読者の皆様はどの動物を連想されるであろうか。絶滅、そこには理由がある。例えば環境の変化に適応できなかったり、人間の蛮行によって絶滅してしまったり。実は絶滅を逃れてひっそりと生きていた、という例もあったりするが、絶滅動物と言うのは基本的に復活は出来ないものだ。だからこそ、種の絶滅と言うのは取り返しのつかない事態である。

 

 

 

ではこの作品における絶滅したもの、「騎士」とは何故絶滅したのだろうか。先に言ってしまえば、それは時代の流れに乗れなかったから。 環境の変化に適応できなかったからこそ絶滅した、騎士という存在。しかしこの作品においては、それが必要だったのだ。

 

「灰の魔王」と呼ばれたそれまで群れることのなかった魔族と魔物を統一し人類の生存圏を侵略した者と、「虹の勇者」と呼ばれた者の一団を筆頭とした人の国の連合軍の長き戦争が、灰の魔王の討伐で終わるも、その後の魔法に関する技術の改革により、騎士と言う存在が消えていった世界で。 「夜の騎士」、「夜叉」と呼ばれた勇者パーティの一員だった騎士、アドレー(表紙左)。 空を飛び魔物を狩る「魔導士」を育成する、幾つかの学園が集まった「魔導都市アウロラ」に、腐れ縁であるエルフ、ユフィールの誘いにより赴任して早々、雨の中で座り込む少女、セレナ(表紙右)を発見し、一先ず家に招き。 その後、赴任した先、この都市における生徒会の顧問として、実は生徒会長であったセレナと再会するも、ひょんな事から嫌われてしまい。 顧問として認められるため、彼女と決闘する事となる。

 

「さて先生らしく―――講義を始めようか」

 

 

 しかし決闘はセレナの自爆、という意外な結果で終わる。そこで語られたのは、彼女は飛行魔法しか使えず、都市最強の者が付くはずの生徒会長の地位に、他の候補者が全員辞退したという理由でついた、というもの。それ故に誰もついてこず、生徒会役員もいない。それでも二人で行動を開始し、仕事である演習の監督をする中、突如魔竜が襲来し。生徒達が逃げ惑う中、アドレーは騎士としての力を解放し、魔竜をぶちのめし。その力に惹かれ、セレナは彼に師事する事となる。

 

 

とりあえずやるべきは、役員たちの全員招集。しかしそれは、セレナがやらねば意味はない。従わぬ役員たちにアドレーが勝利しても、意味はなく。その中で明らかになるのは、セレナの複雑な出自。その彼女を狙い牙を剥くのは、身近にいた魔王軍の残党、その幹部。

 

「意志さえあるなら、君は誰よりも強い魔導師になれる」

 

アドレーの切り札も通用せず、絶体絶命。この状況を覆す為に頼るのは、セレナの可能性。怯えを越え、固定観念を超えた先に、騎士としてのやり方で目覚めさせる、魔法の力。

 

 

正に王道、真っ直ぐに面白いファンタジーであるこの作品。王道を楽しみたい方は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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