前巻感想はこちら↓
読書感想:妹が女騎士学園に入学したらなぜか救国の英雄になりました。ぼくが。3 - 読樹庵 (hatenablog.com)
さて、前巻を読まれている読者様がこの作品の感想を読まれている、という仮定の下にここからの感想を進めていく次第であるが、無自覚最強なこの作品の主人公、我らが「兄さん」の大目標、因縁の敵である白髪の吸血鬼討伐は前巻で為された訳である。さて大目標を達成した後、何を為していくのだろうか。その辺りが描かれていくのが今巻であり、大きく世界が広がっていくのが今巻なのだ。
「―――スズハ兄の領地にさ、女騎士学園の分校を創ってみない?」
前巻の騒動後、落ち着いたかと思ったら持ち上がったのはスズハの退学危機。その黒幕は、ユズリハが討伐し損ねて、王都の女騎士学園の運営と言う閑職に回った、軍旧主流派の残党たち。 どう考えても嫌がらせでしかなく、しかしトーコの権力も今は及ばず。 その問題への打開策として、辺境に軍事施設を置きたいと言うトーコの思惑により、女騎士学園の分校を立てる事となって。四方が断崖な山の上に立つ元修道院を改修する事となる。
そんな中、今巻の波乱を齎す人物がやってくる。その名はツバキ(表紙中央右)。最近統一されたばかりの海の向こうの異大陸からやってきた彼女は、兄さんに勝負を挑み。その勝負を目撃したユズリハの、恋敵を増やさぬ為の策略でうにゅ子までぶつけられ、彼等の力がこの大陸の当たり前、と誤解してしまう事となる。
まぁそんな一幕がありつつも、結果的に分校は少数精鋭の経営となり、兄さんの伝手で常識外の講師が集められたり、さらにはツバキにより異大陸には「兄様王伝説」なる、ちょっと笑える噂話が伝わっていると知ったり。 兄さんの授業で山を越え谷を越え魔物を討伐したりしに行く中。異大陸の天帝による宣戦布告が巻き起こり。ツバキは兄さんに所有権を預けていた妖刀を置いて行って、こちらに乗り込もうとしている天帝を止めるべく旅立っていく。
「史上最大に力業なのだ!」
そんな彼女を、放っておくわけはない。ユズリハやスズハ達とは違って、同じ目線で対等でいようとしている彼女を、助けぬ訳はない。ツバキの助けを求める叫びに、妖刀をぶん投げて渡し。兄さんはスズハとユズリハと共に、大船団を沈めるべく行動を開始する。さて、軍人ですらない兄さんの戦い方とは、作戦とは何なのか。それ即ち力業。しかもはた目から見ればホラーな。 忍ぼうと思えば忍べる、兄さんの悪辣な力業で。戦う前に大船団は壊滅してしまうのである。
安心な無双が繰り広げられる今巻。シリーズファンの皆様は是非。きっと貴方も満足できるはずである。
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