読書感想:ブラコンの姉に実は最強魔法士だとバレた。もう学園で実力を隠せない

 

 さて、基本的に実の姉妹との恋愛は法律で禁止であり、そういった法律がある日本人が考えるからか、例えばファンタジーのような異世界においても、近親との恋愛は禁忌であることが多い。では義理の姉妹ならどうなのだろうか。無論、法律的には何も問題がない。 問題なのは心の感覚くらいであろうか。そういった考え方があるからか、やはり異世界においても義理の姉妹ならば善し、となる事も多い。

 

 

と、まぁそんな前置きから分かっていただけたかと思うが。この作品のメインヒロインは義理の姉であるセシル(表紙中央)である。彼女が義理の弟である主人公、アルヴィンの実力を知ってこの作品は始まるのである。

 

「だって、だらだら過ごしてる方が楽なんだよなぁ」

 

魔法や騎士といったものが存在するとある異世界。かの世界の王国に存在する公爵家、その面汚しとして蔑まれるアルヴィン。しかし彼は、実は歴代でも珍しい氷の魔法を極めた魔法士であり、しかも体術も騎士と渡り合えるレベル、という天才。単に楽に、自堕落に生きていたいから実力を隠していた。しかしある日、正体を隠して盗賊を殲滅した現場に、騎士団の任務でやってきたセシルに実力を見せてしまい。弟と結婚する、が口癖の超絶ブラコンスピーカーである彼女によって、あっという間にその実力は喧伝されてしまう。

 

 

そうすればどうなるのか。無論、最初は信じられる訳もなく、いつものセシルの贔屓目かと思われ。だが騎士団への面通しで副団長を目にも止まらぬ速さでぶっ飛ばしてしまい。騎士も魔法士も全員が学ぶアカデミーに本格的に入学した途端、騎士団に本格的に入れられる事となり。仲良くなった回復魔法使い見習い、ソフィア(表紙左上)、既知の相手であった情報屋、レイラ(その右隣)と友好を深める間もなく。入団試験で団長でもある王女、リーゼロッテにその実力を見せつけた事で、彼の騎士団入りは本格的に内定する。

 

 

そんな彼を待っているのは、最近王都を賑わす「神隠し」と呼ばれる事件。レイラと協力し秘密裡に調査するも、何も見つからず。騎士団の下っ端として表で動いても、何も見つけられず。何の成果もあげられぬ中、標的となったセシルとソフィアが連れ去られてしまう。

 

「僕の使命で、約束だから」

 

敵として予想されるのは、封印された禁術使い。負けるかもしれない、だけど援軍を待つつもりはさらさらない。かつて守ると約束したから、姉を。それがまだ、胸の中に生き続けている使命だから。アカデミーの騎士団を巻き込んでド派手に突入し、怒りのままに禁術使いと向き合って。怒りから見せる真の全力を以て、戦いに挑んでいく。

 

ドタバタとまるで転がるような会話劇の中に、真っ直ぐなバトルの熱さがある今作品。まっすぐなファンタジーを読んでみたい読者様は是非。きっと貴方も満足できるはずである。

 

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