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読書感想:灰原くんの強くて青春ニューゲーム4 - 読樹庵 (hatenablog.com)
さて、前巻まで読まれている読者様であれば夏希と陽花里が無事に恋人同士になったと言うのはご存じであろう。そこで終わっていれば、この作品は光の中に完結していたのかもしれない。しかしこの作品は続き、今巻から第二部、という展開へと移っていく。では第二部開始とも言える今巻では、どんな展開が待っているのか、というと。改めて「二周目」、という事実を突き付けられていくのである。
「・・・・・・恋人って、何すればいいんですかね?」
陽花里と無事に付き合えたことで、浮かれ始める心。だけど夏希にとっては死活問題とも言える問題が襲ってくる。それは恋人とは、何をすればいいのか、という話。それは分らずとも仕方がない。何せ一周目では経験がない事が、二周目で分かる訳もない。
そして、選んでしまったと言う事は正解を決める、という事である。正解を決めればどうなるのか。それは、仲良しグループの絆をぎくしゃくさせてしまうと言う事だ。それもまた、仕方のない事である。選んだ結果に責任を持たねばならず、それも覚悟の上であるのだから。
ぎくしゃくを解消するきっかけを探す中で巡ってくるのは、球技大会。今までクラスの中心人物となってきたからこそ、実行委員のお鉢が夏希に回ってきて。他クラスで実行委員に選ばれた美織とも再会し、球技大会へと時は歩き出す。
鳴に訪れる恋の予感もある中、やってくるのは球技大会の本番。そこで向かい合うのはそれぞれの思い。このイベントこそは、それぞれの絆を取り戻すための試練の時となる。
「お願いだから、あたしが好きなあなたでいてよ」
詩の事を、仲間の事を思うからこそ大人になろうとする竜也。だけどそれは彼の個性を殺すと言う事。半端に大人になってはいけない、もっと自分勝手でいい。好きだ、という思いまで殺してしまうのは否定に他ならぬ。だからこそ、自分勝手な自分で。改めて自分の思いを見つめ直し、取り戻し。いつもの自分に戻った竜也と夏希のコンビの前に、敵はなし。使えるものを全部使って勝利を掴み、勝利を掴んでいつもの友情を取り戻す。
「あなたのこと好きだよ・・・・・・って、言ったらどうする?」
だけど忘れてはいけない。いけなかった。自分のすぐ側に向かい合うべき思いがある事を。その思いは選べない、選んではいけない。だとしても。どれだけ難しいとしても。彼女の思いは、向き合わなければいけないのが彼の宿命なのである。
第二部開始、リスタートの青春が始まる今巻。シリーズファンの皆様は是非。
きっと貴方も満足できるはずである。
灰原くんの強くて青春ニューゲーム 5 (HJ文庫 あ 11-01-05) | 雨宮和希, 吟 |本 | 通販 | Amazon