読書感想:【新装版】自動販売機に生まれ変わった俺は迷宮を彷徨う

 

 さて、自動販売機というものは、画面の前の読者の皆様も皆様ご存じであろう。街を歩いていればあらゆるところに見かけ、レパートリーを見れば様々なバリエーションが有。面白い所では昆虫食に弁当、更には出汁まで。様々な種類が存在するそれを、皆様も利用された事はあるであろう。時々、この自販機高いなと思われた事もあるであろう。実際、私の職場の自販機も最近少し値上がりしたし。という前置きはともかく、この作品は自動販売機に転生し始まるのだ。

 

 

この作品は元々は七年ほどまでに三巻まで刊行され、その後漫画版の方が人気になったので、今夏からアニメ化されるらしい。七年前、何故この作品は流行らなかったのか。それは分らぬけれど、もしかしたら生まれた時代が早かったのかもしれない。

 

 何せこの作品、マジモンな自動販売機に転生する。例えば自力で移動する事が出来るようになる、訳もないしそもそも戦闘も出来ない。真面目な話、かなり不便にも程がある転生をするのだ。

 

その転生をしたのは、ハッコン(表紙右)と名付けられた元自動販売機マニアの男。古今東西のあらゆる自販機が好きな彼は、トラックから落ちた自動販売機を受け止めようとして敢え無く押し潰されてしまい。自動販売機として異世界のダンジョンに転生してしまったのだ。

 

だが前述した通り、文字通り移動も出来ない。魔物の攻撃に対抗する事も出来ず。

 

「いらっしゃいませ」

 

それどころか、自動販売機が話す台詞しか話す事が出来ず。コミュニケーションすらとれず大ピンチ。そんな彼(?)はある日、偶々通りかかった冒険者の少女、ラッミス(表紙左)を助け。「怪力」の加護を持つ彼女に運んでもらう事で、危険なダンジョンから冒険者達の集落へ移動する事に成功する。

 

 さて、ではここで考えてみよう。冒険者、という一般的なイメージをしてみてほしい。そのイメージからすると、ハッコンはどれほど凄い存在であるのか。自動販売機に出来る事しか出来ぬ、だけど出来る事なら何でもできる。取り扱っている商品なら何でも出せる。正に冒険者にとっての補給の大革命なのである。

 

何でも出せるからこそ、冒険者達に重宝され。その存在を不思議がられるも、すぐに冒険者達の生活にとっては無くてはならぬものとなり。時に魔物の大軍との戦闘の最前線に連れていかれたり、時には攫われたりしながら。波乱万丈な異世界生活の中、ハッコンはこの世界に息づいて、馴染んでいく。

 

「俺たちには目的がある」

 

そんな彼の存在は、いつの間にか何かしらの計画の中心に据えられて。いつの間にか彼を中心に、何かの計画が始まるのだ。

 

今の世の中では割とスタンダートな面白さのある今作品。ちょっとドタバタな作品が好きな読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

Amazon.co.jp: 【新装版】自動販売機に生まれ変わった俺は迷宮を彷徨う (角川スニーカー文庫) : 昼熊, 憂姫 はぐれ: 本