読書感想:第三皇女の万能執事1 世界一可愛い主を守れるのは俺だけです

 

 さて、魔鍵と聞くととあるTCGで効果を持たぬカード達をメインに用いるテーマしか思い浮かず、鍵と聞くと鍵を無くした子供達の元に現れる不思議なお婆さんのお話が思い浮かぶ私であるが、皆様は何を連想されるであろうか。と、言う話題はともかくこの作品は最強の主従が活躍するお話であり。毒舌な執事とチョロいお嬢様がイチャイチャしながら、悪に立ち向かうお話なのである。

 

 

「要するに、クソザコでございます」

 

「人々の笑顔と世界の平和よりも、俺は貴女を愛しています」

 

およそ百年前に即位した初代皇帝の血筋が代々国を収めるカレアロンド皇国。かの国では幾多の内乱と暴動が起きてきたと言う歴史から、民の声を聴く目安箱が設置され、民の声を聴く事で平和を齎していた。その皇都に流れる「黒い目安箱」の噂。悩みを解決する謎の美青年、その名はロート(表紙左)。第三皇女であるクレル(表紙右)に仕える執事であり、防御魔法に優れた魔法士であり。彼女を時に毒舌で揶揄いながらも、日々愛を囁く最強の執事である。そんなある日、目安箱から届いたのは魔法博物館からの依頼。魔法士が魔法を使う為に必要な、契約で結ばれた相棒とも言える「魔鍵」。七つのランクで大別されるその中でも、上から二番目のランクである国宝の魔鍵を頂くと言う予告状へ対応する為、二人は博物館を訪れる。

 

館長であるストルムと、職員であるエルネに出迎えられ、一先ずの対策を話し合う中で皇宮からの応援があまり望めないという事を知らされ。国の上層部の無能さに苛々しつつも出来る対策を整える中。知己の店でクレルに向け、御伽噺にもある毒物による暗殺を仕掛けられた事で、ロートの中の逆鱗に触れ、彼にとっての警戒度が一気に跳ね上がる。

 

「賛同も共感もすることができない」

 

事件の中で明かされる真犯人の思惑。それはこの腐敗した皇国に、愛する者を奪われたと言う悲嘆と、国そのものへとその矛先を向けた憎悪。その愛は、ロートにとっては理解できるもの。だがその在り方は賛同も共感も出来ない。そしてその憎悪をクレルに向けた。ならばやるべきことは只一つ。撃滅一択、そして主の願いを叶える事のみ。

 

都そのものを滅ぼそうとする巨大な魔法。それに対抗するのは主従の力。この二人だからこそ紡げる、条件付きではあるもまさに神の御業が如き力なのである。

 

主従の打てば響くようないちゃいちゃなやり取りと、二人だからこその無双なバトルが光る今作品。いちゃいちゃでバトルを読みたい読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

第三皇女の万能執事 1 世界一可愛い主を守れるのは俺だけです (HJ文庫 あ 12-01-01) | 安居院 晃, ゆさの |本 | 通販 | Amazon