読書感想:もしもし?わたしスマホですがなにか?1

 

 さて、現在の世の中でスマホを所持していないと言う画面の前の読者の皆様もそうはおられないであろう。スマホではなくガラケーでさえも所持していない、までに範囲を広げるとほぼいないのではないだろうか。それほどまでに携帯というのは社会に浸透しているし、スマホというのは一人に一台必需品のライフラインと化している。そんなスマホはご存じであると思うが、様々な種類がある。この作品における「スマホ」もまた、近未来の最新機種であり衝撃的な形状なのである。

 

 

「どっからどう見ても人間なのにスマホなのっ?」

 

陰キャでむっつりすけべでボッチで、ナチュラルに思考が畜生。そんな青春の陰の一面を煮詰めたような少年、為明。彼の誕生日に送られてきたのは、ミシオンジャパンという企業が開発した人造人間スマートフォン、エクストラ(表紙)。機械ではなく人造人間。DNAから設計され人工子宮で超速育成された、スマートフォンの機能を持たされた人間、である。

 

その認証は唇紋認証という事でユーザー登録の為にキスから始まり、更にはスマートフォンという事で勿論一緒に居るのが普通であるので、為明の通う高校に転校生としてやってくる事になって。為明の日常生活は鮮烈に、それこそまるでおもちゃ箱をひっくり返したように賑やかに染まっていくのである。

 

「みんな、だめ明とID交換してくださいっ」

 

初登校の挨拶からして為明をディスる形でぶちかまし、更にはID交換の方法がダンスを踊る事だったので唐突にライブを実行する事になり。形はまぁまぁあれだけど、為明の為になる事をすると言わんばかりにぐいぐいと騒動を巻き起こしていくエクストラ。そんな彼女を制御する事も出来ず、頭を抱えながらも日常を乗り切っていくしかない為明。

 

そんな日々の中、関西出身のクラスメイトの茶子からメッセージが送られてきた事で友達になる事が出来たり。エクストラが(あまり悪びれもせず)誤爆メッセージを送ってしまった事で、風貌や態度から怖がられるギャル系の扶姫とご飯に行くことになったり。少しずつ、彼の世界は広がっていく。まだまだナチュラルに畜生な性分は抜けきらないけれど、それでも少しずつ。彼の世界は広がっていき、憧れの存在である弓子に近づく勇気を出せるくらいに、元気と勇気が出てくるのである。

 

この作品は、ボーイミーツガールである、そして成長のお話、であるのかもしれない。それと同時に、愛すべき曲者達の青春のお話、なのである。

 

癖のある青春模様が好きな読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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