読書感想:クラスのぼっちギャルをお持ち帰りして清楚系美人にしてやった話5

 

前巻感想はこちら↓

読書感想:クラスのぼっちギャルをお持ち帰りして清楚系美人にしてやった話4 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、前巻で未来へ繋がる前向きな形で別れた晃と葵であるが、ここまでの関係になっていても、まだ付き合ってすらいない、という事実を画面の前の読者の皆様もご記憶であろう。まさに嘘でしょ、としか言えないもはや恋人同士を飛び越えているような二人であるが、あまりにも一足飛びに過ぎる。そんな一足飛びを埋めていくのが今巻なのである。

 

 

「ここでの生活はどう?」

 

「すごく充実してるよ」

 

前巻の別れから早くも四カ月、ようやく訪れた会える期間である夏休み。葵が今暮らしている田舎の祖母の家に泊めてもらえる事となり、ようやっと二人は再会を果たす。

 

「つまり俺がここにいる間、ずっと葵さんと二人きりってこと?」

 

 その歓びにいい意味で水を差すのか、それとも余計なお世話か。葵の祖母が気を利かせ家を留守にした事で、まるであの日のように二人で暮らす事となるのである。

 

更には村の夏祭りの準備の手伝いをする葵の手伝いに乗りだしたら、村の年配の方たちからは葵の婿と認識されていたという事実が判明し。まるで村ぐるみで歓迎され、もはや外堀が自ら埋まって城壁を建設していくかの如き勢いに翻弄される事となる。それもまぁ仕方のない事かもしれない。若者不足の村、しかも晃は礼儀正しく好青年というどう見ても超優良物件であるので。

 

それだけではない、愉しい時間は。友人である瑛士や泉との再会、皆での思い出作りをするべく二泊三日で向かうグランピング。まるであの日の焼き直しのような光景に苦笑したりする一幕もありつつ、久しぶりの楽しさに浸っていく。

 

「僕はね、人は基本的に変われないものだと思っていたんだ」

 

その楽しさの中、改めて実感するのは葵のいい意味での変化。その引き金を引いたのは晃、でも彼がいなくとも彼女はいい方向に進んでいる。周りに支えられ、見守られ。前を向いて元気に進んでいる。

 

しかしそこに水を差す無粋な輩、間男にもなれぬ事を知らぬ愚者もいたりするわけで。迎えた夏祭りの本番、葵が地元の輩な高校生たちに一方的に絡まれて。嫌悪感と共に彼等の勝手な弁に怒りに身を任せそうになるも、何とか踏みとどまると言うアクシデントもあり。

 

「確認して、伝えて、関係を先に進めたかったから」

 

何故嫌悪感が湧いたのか、それは葵も村の人達の思いも馬鹿にされたから。何故今回帰ってきたのか。改めて実感する自分の気持ち。それは好き、という思い。その思いを素直に伝えることに成功し、やっと二人の関係は一歩前進するのである。

 

甘さをまた一段と煮詰め、やっと恋人としてのスタートラインに立つ今巻。シリーズファンの皆様な是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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