読書感想:週末同じテント、先輩が近すぎて今夜も寝れない。2

 

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読書感想:週末同じテント、先輩が近すぎて今夜も寝れない。 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、ラノベゆるキャン△、という方向性に進んでくれると私としては嬉しいこの作品、何事も経験して見なくては分からない。何事も予定通りではないからこそ面白い。そんな醍醐味を描いていくこの作品であるが、一つだけ懸念すべき事項がある。それは主人公とヒロイン、香月と文香が二年の差がある、先輩ヒロインの中ではあまり見ない年の差という事である。

 

 

一つの差なら、王道くらいによくあるし、まだ一年余裕がある、と言っても過言ではない。しかし文香は三年生。故に二人が一緒に居られる時間は、意外と短い。少しずつ二人の時間は終わりに近づいていくのである。

 

「いやぁ、ここ最近のお兄ちゃんは私の予想の上ばかりいきますなぁ」

 

「料理長・・・・・・いい響きですね」

 

だが、そんな足音からはとりあえず目をそらし、やってくるのは香月にとって初めてとなる、北海道での夏。今度は文香と少し遠出するべくアルバイトに励み。文香と休日を過ごしたり、先輩たちと河川敷でBBQをしたり。妹にも驚かれるくらいに、今までとは違う日々を満喫していく彼の世界は、今まで避けていた周りとの交流を取るようになった事で、どんどんと広がっていく。

 

「俺はあの人が楽しむ顔が見たいん、だと思います」

 

 そんな中、目指していく次の目的地は富良野。彼等の住まう場所からは少し遠い、行きにくくもある場所。けれどそれでも香月はそこに行きたいと言う意志を押し通す。文香がそこに拘っているのを知っているから。彼女がキャンプで見せる顔が好きだから。

 

その意思の強さに周りも応援の意思を示し、富良野へのキャンプにこぎつけ。二人で文香のバイクにタンデムし、旭川での一泊を挟みながらの二泊三日の日程で。その途上、道の駅で文香が肉の誘惑に負けたり、旭川でラーメン屋を探して右往左往したりする中。香月の不用意な一言が、不意に文香の心と表情を曇らせる。

 

 自覚するのは、二人の年の差。香月が成長していく先、自分はそこにはいられないという事。それでも今、こんな遠くまで二人で来た。また二人、こんな遠くの地で色々なはじめてを経験している。こうして二人で星を見上げるのだって、初めてだ。

 

「これからも。し、四海道先輩が卒業しても、一緒にキャンプできますように」

 

流れ星に願う、これからの未来。そこに垣間見る、彼の思い。彼女と過ごすキャンプの時間が好きだから、という彼の願い。その思いの欠片を流れ星が届けてくれたのか、文香の中にも新しい思いが芽生えていく。言葉に出来ぬ、けれどこそばゆくて温かな思いが。

 

本格的にラブコメが動き出す、少しずつ甘さを深煎りしていく今巻。前巻を楽しまれた読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

週末同じテント、先輩が近すぎて今夜も寝れない。2 (GA文庫) | 蒼機 純 |本 | 通販 | Amazon