読書感想:冷たい孤高の転校生は放課後、合鍵回して甘デレる。2

 

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読書感想:冷たい孤高の転校生は放課後、合鍵回して甘デレる。 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、前巻で空也とファティマの二人は今までの関係を乗り越え一歩、新たな関係へと踏み出したわけであるが、学生の身で婚約というのはどうなのか、と画面の前の読者の皆様は思われるかもしれない。だがしかしラブコメにおいてはあり得る事であり、小縁のような保護者も祝しているのだから、別に良いともいえる。だが婚約、というのはそれはまだ始まりに過ぎない。一つの節目を迎えても、ラブコメはまだまだ終わらないのである。

 

 

「お義祖母様。お孫さんと私との婚約を、お許しください」

 

「―――お嬢さんと俺との婚約をお許しください」

 

しかし、形にするのは大事であり許しを得るのも、もっと大事である。それぞれが小縁と向き合い許可を貰い。二人の関係は正式に、婚約関係という一歩先の段階へと踏み込んでいく。

 

「私だってイヤですよ。それよりもっとこう、恋人らしいことをしたいです」

 

無論、恋人同士からすっとんで婚約関係になったと言っても、急激に何かが変わるわけでもない。それでも一つ、確かな繋がりを得た事で二人の関係は少しずつ変わっていく。変わる余裕が出た事で、周囲との交流関係も少しずつ、広がっていく。

 

ゴールデンウィーク後に急に訪れた定期テストで皆で勉強会をする事になったり。その後に訪れた球技大会で、何故か空也が剣道に挑むことになったり。

 

そんな中、空也が言わずにいた過去を、ファティマは彼の試合風景を見届ける事で知っていく。初心者とも思えない、剣道部のホープともいえる一年生を、えこひいきな審判に文句も言わせぬ形で叩き潰せる程に持っている腕前。では何故彼はそんな腕前を持ちながらも、今、剣道に触れていないのか。

 

それは彼が触れてしまった歪み。歪みに触れ彼の心は傷つき、そのままに歪に繕って、もう元には戻れなくなって。けれど、そんな彼の心をファティマは愛してくれる。スキだと言ってくれる。

 

「男が廃るというものよな・・・・・・!」

 

ならば、この一戦だけは負けられない。かつての好敵手と書いて友と読む、紅葉との一戦に臨む空也。折れかけた足をファティマの応援が支え、心は奮い立ち。限界を超え、もはや反射の如き速さの一撃を決める力となる。

 

確かに思い深まり、絡まり合う事でより甘さが深みに嵌っていく今巻。前巻を楽しまれた読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

冷たい孤高の転校生は放課後、合鍵回して甘デレる。2 (GA文庫) | 千羽十訊, ミュシャ |本 | 通販 | Amazon