読書感想:俺にトラウマを与えた女子達がチラチラ見てくるけど、残念ですが手遅れです2

 

前巻感想はこちら↓

読書感想:俺にトラウマを与えた女子達がチラチラ見てくるけど、残念ですが手遅れです1 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、前巻を読まれた読者様であれば雪兎を囲む、愛の重いヒロイン達と構図はご存じであろう。彼女達の愛の重さはとんでもないものがある。それこそ雪兎に全てを捧げんとするくらいには。その根底にあるのは悔恨と贖罪の思いである。それに未だ気付かず、自分を自嘲しながらマイペースに生きている彼。だがこれだけは忘れてはいけない。彼の女難の相は未だ継続中であるという事を。これ以上彼は傷つかない方がいいのに、周囲から次々と脅威が襲ってくるのである。

 

 

「・・・・・・格好良いなぁ」

 

灯凪に関わる問題も一旦は解決を見せ、雪兎が自分の身が傷つく事も厭わずに痛みを背負い込んだ事で、強引に収束を見せ。バスケ部に入部した雪兎が、ぬるま湯の中にいるようなバスケ部員たちを叩き直すのを、汐里が熱っぽい目で見つめ。

 

「いいわ。これからは恋のライバルとして正々堂々戦いましょう」

 

そして灯凪に渡せなかったプレゼントを巡り、汐里との間でちょっとした折衝が巻き起こり、そこで二人の間に友情が発生し。

 

 ここまでであれば、ただほっこりするだけだろう。だがしかし、彼の女難の相はいつでも牙を剥く時を待っている。そして残念ながら今巻でも、その相は牙を剥いてくるのである。

 

痴漢の冤罪から助けてくれた澪から、恋人役として合コンについてきて欲しいと強引に連れ出され。その少し前に遭っていた事故の加害者であったトリスティにも接近されたかと思えば、合コンの男性陣からの嫉妬を招き。

 

更にはその合コンがバスケ部の強化につながったかと思えば、母親である桜花やお隣さんである美月に接近されたり。

 

それどころか、事態は更に面倒な方向に突き進んでいく。敬愛する睦月の変化を見て雪兎に逆恨みを抱いた副会長、英里佳がクラスごとカンニングの冤罪をかけ。その首謀者として雪兎は謹慎処分を受けてしまう。

 

 彼を見守る美咲が回顧する、雪兎の絡む彼女の過去。自分が力になれなかったから一つの学級を崩壊させ、彼の事を救えなかったと言うトラウマまっしぐらな記憶。

 

そんな記憶も思い出さず、のんびりマイペースに日々を過ごす雪兎。

 

だがその裏で。雪兎を愛し、彼に救われた者達が現状をひっくり返す為に学校さえも転覆させようと、団結して行動を開始する。そして雪兎が得ていた意外な繋がりが、上京をぶっ壊す最後の鍵となる。

 

「他の誰かじゃない。雪兎だからだよ」

 

やっと気付く、自分が周りから愛されている事を。こんなにも大切にされている事を。

 

その自覚が今、彼を自縛していた鎖を壊す。そう、やっとこさマイナスはゼロになったのである。何もかもがここからが始まるのである。

 

前巻と合わせて一つのプロローグとなる今巻、前巻を楽しまれた読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。