読書感想:追放されるたびにスキルを手に入れた俺が、100の異世界で2周目無双3

 

 さて、前作までを読まれた読者様はわたしがこのSカウ品を主人公であるエドの心残りを拾い集めていく、心躍るロードノベル風の作品であると評したのは画面の前の読者の皆様もご存じであろう。だがしかし画面の前の読者の皆様はこうは思われた事はないであろうか。このまま一つ一つ、世界を周り続けるだけでは何れ無味乾燥としてしまうのではないだろうか、と。違う世界を巡りそれぞれ違う個性を持つ勇者達と関わっていく。それだけではいずれ、平坦になってしまうのではないかと。

 

 

しかし、そういった読者様はどうか安心して欲しい。今巻では彼等の道行きに不穏が見え始める、どこかきな臭い予感を増していくのである。

 

(どういうことだ? 何でこの世界に来た!?)

 

ティアと共に、いつも通りに訪れた新たな世界。だが、ここで事態はエドにとって予想外の方向へと転がりだす。今回訪れたのは、二十八番目に訪れた異世界。精霊と契約し魔法を使う者達が「ノルデ」と呼ばれる脅威と戦う異世界。その世界の勇者であり、魔法学園に通いながらも魔法の使えぬ無能者であり田舎者、ミゲル(表紙中央)に人の精霊として仕える事になり。何故か時間軸がズレて三日前に先んじて転移し、別の者の精霊となっていたティアと共に、ミゲルやいじめっ子であるナッシュ達、新時代の精霊使いを育てて、ノルデに立ち向かう力を与え、心からの笑顔と師匠としての餞別と共に、再び別れる。

 

弟子であったミゲルの、弟子としての心にちょっとしんみりしたりしつつ、ティアの新たな力を確認したり。だが、再び波乱は襲ってくる。

 

続けて訪れた新たな世界。そこで出会ったのは、逃走に特化した能力を持つ異色の勇者、トビー。この世界の国王様から秘密裡に依頼された荷を運ぶ最中、パームとクロードという二人組の盗賊に狙われる彼を助け。一先ずは護衛という形で関わる事で、荷を運ぶために目的地を目指していく。

 

だが、今回の旅は最初から旅路が狂っていた。エドが二分の一の賭けに失敗した事で、まず最初の前提から異なってしまい。それ故に、今回の旅は全く以て未知のものとなってしまったのである。

 

それでも何とか目的を果たし、パームや刺客達とぶつかり合ったりしながらも達成の果て、再び新たな旅に出る。

 

『―――ミツ、ケ、タゾ』

 

 だがしかし、彼等はまだ知らなかった。トビーが運んでいた荷の正体、そこにエドが感じた違和感。そしてトビー達の物語は終わらなかったという事。そこに隠れていた悪意が、ひそかに芽生えていたという事を。

 

芽生えた不穏は何を生むのか。シリーズファンの皆様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

追放されるたびにスキルを手に入れた俺が、100の異世界で2周目無双 3 (HJ文庫 ひ 04-01-03) | 日之浦 拓, GreeN |本 | 通販 | Amazon