読書感想:拾ったギャルをお世話したら、〇フレになったんだが。

 

〇フレ。この〇の部分に当てはまる文字は恐らく、さ行の文字であろうが何の文字を連想されるかによって、その人の不純な度合いが分かってくるのではないだろうか。と、いう若干不明瞭な前置きはさておき、この作品は「不純で純粋な同棲ラブコメ」であるらしい。不純で純粋、というのは一体どういう事なのか? それを今から見ていきたいと思う次第である。

 

 

諸事情により一人暮らしをしている、家事が得意で割と面倒見がいいこと以外は普通の少年、海斗。彼がある雨の日、家に帰宅した所。自分の家の横で座り込んでいた、ギャルな後輩の少女、純夏(表紙)を発見する事となる。

 

「聞いてほしいなら聞くけど、どう考えても訳ありでしょ。なら聞かないよ」

 

家出してきて、家に帰りたくないと宣う彼女。普通であれば、親元に返すのが正解の行動であるのだろう。だが、どうも無理に返すのも憚られ、事情を聴くのも何となく躊躇われ。結局お節介を発動させ、彼女を家に泊め更には一晩中側に居た事で。彼女に懐かれた海斗は、彼女の自分自身を人質にとるお願いに折れる事となり。気が付けば、彼女を居候に迎えた生活が始まる事となる。

 

「私の睡眠とお肌の美貌がどうなってもいいのなら」

 

彼女の安眠の為、彼女の添い寝フレンド、通称「ソフレ」となることになり。毎晩一緒に寝る事となり、合鍵も渡して。だが、受け取っているだけではいけないと決意した純夏は苦手なりに一念発起し、不器用ながらも彼に朝食を作ろうと奮闘する。

 

「傍にいてくれる、それだけでいい」

 

 それは何気ない朝の光景、ごく普通のありふれた日常である、のかもしれない。だがそれは今まで、海斗の日常には無かったもの。何気なさの中に実感するのはささやかな幸せ。それは純夏がいたからこそ得られたものなのである。

 

だが彼等は二人きりの世界に閉じこもっている訳ではない。純夏の親友である深冬にもひょんな事から懐かれて。更にはクラスの気安い友人であるソーニャも彼に思う所がある様子を見せ、酔っ払いの女子大生やバイト先の先輩と言った、個性的に過ぎるヒロイン達が彼等の周りを取り囲む。そんな状況から繰り出されるのは何か。それこそは、まるでおもちゃ箱をひっくり返したかのような、賑やかなラブコメ。息つく暇もなく、一瞬しかないと駆け抜けていくような、色鮮やかなラブコメなのである。

 

不純で純愛、なるほど、確かにその通り。彼等の関係を世間一般で言うのなら不純なのだろう。だが彼等の間にあるのは、まだ名前の無いけれど純粋な愛。それは自明の理。

 

ならばこの作品、不純か、純愛か。それは是非、画面の前の読者の皆様の目で判断してほしい次第である。

 

賑やかに繰り広げられるラブコメが好きな読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

拾ったギャルをお世話したら、〇フレになったんだが。 (ダッシュエックス文庫) | 赤金 武蔵, 上ノ竜 |本 | 通販 | Amazon