読書感想:妹はカノジョにできないのに2

 

前巻感想はこちら↓

読書感想:妹はカノジョにできないのに - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、前巻を読まれた読者様がこの巻の感想を開かれていると言う仮定の下にここから先の感想を書いていくので、前巻のネタバレもここから解禁していく事をお許しいただきたい。では早速。前巻の最後、晶穂もまた妹であると言う事が判明した次第であるが、それによりこの作品はラブコメとして更に混沌を増し一気に加速し始めているというのはもうお分かりであろう。では妹と妹の狭間で、問われるのは何か。それは春太の心なのだ。

 

 

そう、選べないのだ、簡単には。思いは簡単には振り切れぬ、割り切れぬ。だからこそ揺らいでしまう、戸惑ってしまう。

 

「・・・俺も好きだよ、雪季」

 

それでも、積み上げてきた時間は特別である。それを示すかのように、だがあの告白は確かに何かを変えている。雪季との秘密の、兄妹の域を超えたスキンシップ。だが好きと言う思いを交わせど、そこに戸惑いは生まれてしまう。確かめれない思いが、春太の心を揺らす。

 

「好きなんだよ、ハル」

 

だが、血の絆とて簡単に切れるものではない。そして結ばれぬ関係性があったとしても、そこで交わした思いまでは簡単に切れるものじゃなく。晶穂との恋人同士の時間は儚くも続き、終わり切れず割り切れぬままに思いを重ねてしまう。

 

 そんな中、ひょんな事から三人はかつて過ごした場所へと出かける事になる。雪季に関する所要を済ませるだけだった筈のそれは、かつて雪季に関する苛めの主犯格となった少女、透子が関わる事で急に複雑さを増していく。彼女の実家へと招かれ、そこで更に衝撃的な事実を知る事となる。透子との衝撃的な関係の秘密が明かされる。

 

何てことはない、切れたはずの絆が形を変えてそこにあっただけ。だが、いつもと違う場所と言う非日常が関係を変える材料となるのが常なのか。春太と雪季、晶穂は三人で向かい合い。それぞれ共有していなかった、お互いに関する秘密を知る事となる。

 

「あたしが代わりに、ハルの妹になっていい?」

 

知った上で晶穂は望む。雪季が今独占しているその位置を。

 

「妹も卒業してお兄ちゃんの―――あなたのカノジョになりたい」

 

そして真実を知った雪季もまた、春太が知らぬ「女」の顔で色香を漂わせ。改めて宣戦布告する。妹としてではなく女の子として。貴方の隣にいたいと。

 

 だからこそ、否応なく理解させられる。もう後戻りはできない、踏み出してしまった。この先何が変わるとしても、もう元には戻れないと。

 

更に「愛」が深まりより混沌となる中、確かに全てが動き出す今巻。前巻を楽しまれた読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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