読書感想:この△ラブコメは幸せになる義務がある。

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 さて、百合の間に挟まる男は罪である、というのは百合がお好きな読者様であれば当然な周知の事実であろう。実際、百合の間に男は邪魔であると言っても過言ではない。では少女二人の間に、男子が挟まるならばそれはどんな関係であるのか。それ即ち「三角関係」である。

 

 

自堕落な姉と暮らしているせいで料理が得意と言う以外はさしたる特徴を持たない、ごく普通の少年、天馬。別に青春アンチではないけれど、無理に青春したいわけではなく。中庸を保ちながら過ごす凡庸とした日々は、ある日拾った落とし物から激動の日々を迎える事となる。

 

 それは、軽音部のギターボーカルも務めるクールな少女、凜華(表紙左)がクラスの天使的存在、麗良(表紙右)に百合的な意味で好意を寄せていると言う事。秘密を守ると言う名目の元、否応なく彼女に協力させられることになり。しかしここで大誤算が一つ。凜華が寄ってくるクズな男共を切り捨てまくっていたせいで、男慣れしていない麗良が、ナンパから助けられた事で天馬に好意を抱いてしまったのである。

 

ぐぬぬとしながらも、歯を食いしばりながらも協力してもらう事になり。共に作戦を練り、天馬からのサポートを凜華が空回りでふいにしたりしながら、ドタバタな日々を過ごしていく事となる三人。

 

 その最中、麗良が実は料理が出来ない等のぽんこつな一面があると知ったりする天馬は同時に、運命共同体として凜華の本当の姿に迫っていく。求められるキャラを演じるあまりに空回る、只のか弱い少女である彼女の本当の姿を見つめていく。

 

かつての自分の姿が重なる、助けたくなっていく、見逃せなくなっていく。だからこそ、自分の立場が悪くなる事も厭わず、彼女を助けるために時に熱く奔走していく。

 

嫌な思いをずっとしてきたはずなのに、苦手だった筈なのに。いつの間にか彼に心を変えられていた。男の事を嫌いだった筈なのに。だからこそ、その思いを断ち切るために。天馬に背を押され、麗良と向き合い。凜華は己の思いを吐露し、麗良に天馬を託そうとする。

 

「だって、一番近くにいた、一番の友達と・・・・・・同じ人を好きになれたんですから」

 

 しかし、その思いを麗良は受け止めた。受け止めた上で、素直になれと凜華の背を押した。一番大切な人に背を押され、自分の思いに素直になり。ようやっと、凜華は己の恋を歩き出す。

 

なるほど、確かにこの三角関係は幸せになる「義務」があるのだろう。そして誰もが幸せになる為には、この三人でしか為せないこの関係が必要となっていたのだろう。だからこそ、この三角関係はありふれているように見えて唯一無二。正しくもっとも幸せな三角関係と言っていい。

 

 正に三角関係の到達点、そして真剣な思いが巡るのが彼等の関係。嗚呼、何と甘い事だろうか、尊い事であろうか。正直に言ってしまうのなら、ここまで私の心のライフを減らしてきた作品は滅多にない。

 

故にこそ私は断言したい、この作品は正しく「傑作」、ラブコメ界の最前線で輝くべき作品であると。

 

幸せに満ちた三角関係が見てみたい読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

この△ラブコメは幸せになる義務がある。 (電撃文庫) | 榛名 千紘, てつぶた |本 | 通販 | Amazon