読書感想:英雄と賢者の転生婚3 ~かつての好敵手と婚約して最強夫婦になりました~

 

前巻感想はこちら↓

読書感想:英雄と賢者の転生婚2 ~かつての好敵手と婚約して最強夫婦になりました~ - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、前巻を読まれた読者様であればレイドとエルリアの転生の秘密に関わる、謎の黒幕の思惑というものはご存じであろう。エルリアも知らぬ術式、それはまるで過去でも今でもなくもっと先の未来のよう。だがしかし、画面の前の読者の皆様はこうは思われた事はないであろうか。・・・敵の動き、一貫性が無くないか、と。エルリアの命を狙ってきたかと思えば、レイドに力を与えたり、。敵なのか味方なのか判然としない、どっちつかず。そこに込められた意味の一端が分かると共に、そう言う事かと納得があるのが今巻なのである。

 

 

前巻の騒動の後、ティアナから聞き出したレイドのかつての故国の滅亡の経緯。ある意味自業自得、既定路線のその経緯が大切な訳ではなく、寧ろ肝心なのはその後。再建されてから、なのだ重要なのは。

 

「―――千年前の時点で、既に歴史は変えられている」

 

そこから導き出されるのは、そもそも千年前、レイドという英雄の誕生時点で歴史は変えられ、黒幕はどうも歴史を書き換え観測するのが狙いらしいという事。そこにあるのは転生、ではなく記憶の継承、もしくは不老不死。その仮定に基づき、まずは手掛かりを求め。歴史と砂漠に埋もれた旧帝都の探索に向かう事となる。

 

「はい、それじゃスタート」

 

 が、しかし。その前に待っているのはドタバタの日常パートである。ファレグの従者であるヴァルクとルーカスも復帰し、彼等も交え水の都のビーチで繰り広げられるのは、エルリアによるとんでもない特訓。もはやブートキャンプの方が優しいのではないかという厳しさで、鍛えられる側をすり下ろしつつも確かな成果を上げ。 彼等と一旦別れ、呪術の混じる魔術を使う国、レグネア担当の特級魔導士、サヴァトとトトリと合流し。遺跡の調査に乗り出していく事となる。

 

その最中、語られるのは「獣憑き」と呼ばれる人の理を外れたものである、サヴァトとトトリに纏わる秘密。愛故に彼を、この世に縛った、彼女だからこそなしえた愛の形。

 

彼等の目の前、遺跡の探索中に現れたのはレイドと同等以上の力を持つ、「英雄」を名乗る謎の人物。エルリアの前世での父親の名前を語る敵との邂逅戦も束の間、成立した禁呪により世界を滅ぼす程の大災厄が目を覚ます。

 

危機を前、自身の正体に思い悩むエルリア。果たして自分とは何なのか。

 

「それが―――俺の惚れた『エルリア・カルドウェン』って女だ」

 

そんな事は関係ない、今自分が知るエルリアこそが彼女であるとレイドは高らかに言い、二人は大災厄と戦うために飛んでいく。

 

「「死ぬまで全力で殴り続ける」」

 

世界を滅ぼす大災厄、何するものぞ。寧ろそんな強敵ならば、全力を出せる。嬉々とした笑顔で挑まんとする先、エルリアの前世の父親であるウォルスの声は届き、弱点は知らされる。

 

探し出したのならば、全部教えると宣う彼。しかしレイドが解き明かしたのは、彼はすぐ側に居たという事。それが事実ならば果たして、どんな真実があるのか。

 

更に世界の謎が深まる今巻。シリーズファンの皆様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

英雄と賢者の転生婚 3 ~かつての好敵手と婚約して最強夫婦になりました~ (HJ文庫 ふ 08-05-03) | 藤木わしろ, へいろー |本 | 通販 | Amazon