読書感想:無敵商人の異世界成り上がり物語 ~現代の製品を自在に取り寄せるスキルがあるので異世界では楽勝です~

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 さて、突然ではあるが、「もし無人島に何か一つだけ持った状態で放り出される」としたら、何を持っていきたいと画面の前の読者の皆様は思われるだろうか。私としてはサバイバルナイフか何かの刃物を持ち込みたい所である。と、言うのはともかくとして。「もし異世界に放り出されるとしたら、どんなスキルを持っておきたいか」という問いかけであれば、画面の前の読者の皆様はどう思われるであろうか。

 

 

戦闘系スキルであれば生き延びるにはいいかもしれない。例えば冒険者のような食用が存在する世界であれば、言葉は何かしらの要因で意思疎通できるとすれば、冒険者になるのもいいかもしれない。

 

 しかし、命の危険がある、そもそも初期費用が掛かるということまで考えると。何かしらを元手に商売を始めた方が長期的な目線から見ると、生き抜くには良いのかもしれない。

 

この作品の主人公、大地(表紙右)が異世界に転移して得たのもそんなスキルである。天涯孤独となり就職浪人になりかけた矢先、愛猫であるニケ(表紙上)と共にひょんな事から訳も分からず異世界に転移してしまい。ステータスを確認して、何故かニケに強力なスキルが宿っていると判明し絶望し。

 

 しかし、天は彼を見放してはいなかった。大地に宿ったスキルの名は「トレード」。現実世界から何でも取り寄せる事のできる、商人になるにはピッタリのスキルだったのである。

 

そんなスキルを手に、この世界で生きていこうと決意し。とりあえずは何処か拠点となる街を目指し歩き出した早々、異世界の大商会と行商隊と出会い、何とか話を付けて共に行く事となる。

 

 しかし、彼は未だ知らなかった。この世界に於いて彼のような存在が何処まで目立つのか。そしてこの世界には、どんな歪みがあるのか、という事を。

 

その知識と、気が付かぬ間に仕えるようになっていた無属性魔法。そして胆力で行商隊に同行していた高位の魔術師、アリシア(表紙中央)と行商隊の護衛を務めるカリーナ(表紙左)の度肝を抜き、それが大商会のトップにも伝わりどんどんと注目を集め、手放せぬ逸材となる判断を生み。

 

そして魔力を持たぬ者が差別されると言うこの世界の歪みを見て、魔力を持たぬ人達の生活を豊かにし価値観を変革すると言う大志を大地に抱かせる。

 

「その、色々と言えないことが多くてごめん」

 

全部を明かすわけにもいかぬ。ゴブリンと盗賊に襲われる村の事件を始めとし、経験した事もないような修羅場は次々と襲い来る。それでも、この世界で生きていく。

 

異世界に結果的に革命の風雲を齎していく、独特の面白さのあるこの作品。

 

度胸と胆力のある主人公が好きな読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

無敵商人の異世界成り上がり物語 ~現代の製品を自在に取り寄せるスキルがあるので異世界では楽勝です~ (角川スニーカー文庫) | 青山 有, ぷきゅのすけ |本 | 通販 | Amazon