読書感想:常勝魔王のやりなおし3 ~俺はまだ一割も本気を出していないんだが~

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前巻感想はこちら↓

読書感想:常勝魔王のやりなおし2 ~俺はまだ一割も本気を出していないんだが~ - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、この作品も順調に進み三巻まで来たわけであるが、とりあえず勇者の末裔の外道さ加減にもそろそろ、画面の前の読者の皆様も慣れられた頃であると思われるので敢えて触れぬこととする。画面の前の読者の皆様、この作品において重要であるジークの目的について、お忘れではないだろうか。

 

 

今まで勧善懲悪の成敗劇を繰り広げてきたジーク達魔王一行であるが、成敗劇は本来の目的とは違うと言っても良い。その目的は、愛すべき宿敵である勇者ミアの復活。その為に必要なのは、「勇者の試練」をユウナに受けさせ、クリアさせる事。

 

 前巻で掴んだ勇者の試練を受ける事の出来る場所。それはかつて勇者ミアに愛された「光の都」と呼ばれた都市、イノセンティア。しかし、そろそろ画面の前の読者の皆様もお察しであろう。ジーク達の行く先には外道な勇者達がのさばり、腸の煮えくり返るような光景しか待っていないという事を。

 

この街を支配する勇者、ウルフェルト。この勇者の罪、それは獣人達亜人を好き勝手に虐待するという事。闘技場の見世物にしたり、性奴隷として扱ったり。魔王として許すわけにはいかぬ、しかしウルフェルトは謎の不死身性を見せ、一度はジークを退けて見せる。

 

 一体、奴は如何なる秘密を隠し持っているのか。その答えは簡単。奴は呪術により人々の命を弄び、吸い取り。挙句の果てには勇者の試練すらも歪め、勇者の力を吸い取っているのである。

 

許すつもりは勿論ない、鍵となるのはユウナの力。勇者の試練をクリアし術式を打ち砕く為、試練に挑むユウナ達。囮となる為、単独でウルフェルトとの再戦に臨むジーク。

 

 勇者ミアの残留思念と出会い、時の進まぬ空間での修行に励み。ユウナは勇者として、更なる段階へと踏み込んでいく。

 

「断言してやろう。お前にもう勝ち目はない」

 

そう、端から勝ち目など何処にもなかったのだ。手品の種が割れ、全てのからくりが判明してしまったのならば、それを打ち破るのは簡単な事。そして、ただ借り物の力で不死身となったくらいならば、ジークに勝てる道理もない。後は時間を稼いでしまえば、こちらの勝ちへと傾くことは明白なのである。

 

今までとは違い、ユウナがまるで第二の主人公のように活躍し、ジークと並び活躍する今巻。だからこそ、今巻は前巻よりも一歩レベルの進んだ面白さがあるのである。

 

シリーズファンの皆様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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