さて、突然ではあるが画面の前の読者の皆様。貴方は犬派であろうか、それとも猫派であろうか。私自身はどちらも好きであるが、最近我が家の飼い猫が中々近寄ってきてくれなくて少し寂しい次第である。それはともかく、ファンタジー世界の主人公の相方と言えば色々イメージがあるかもしれないが、スライム等のモンスターや犬などの忠義に厚いモンスターが務めているという感じがあるのは私だけだろうか?
猫、と言えば気紛れ。そんな印象はあるかもしれない、現実世界では。中々自分から来てくれない、そこが可愛いとも言うが。
そんな彼等、猫が相棒であるのがこの作品であり、なろう系の最近のトレンドの一つである追放ものの一つであるのがこの作品である。
ではこの作品は一体どんな作品かと言うと、題名が全てであると言いたい。正にこの通りの作品なのである。
勇者が「竜」達へと反旗の狼煙を上げ、その血を引く聖女が神龍と共に邪竜達を退け約百年、未だ「竜」を始めとする魔物達と「冒険者」達が争い合うとある異世界。
そんな世界の片隅、貴族の子弟であるアイラスのパーティでまるで奴隷のように扱われる少年、ナイン(表紙中央)。虐げられながらも必死に働く中、父の形見である武器を売られ相棒である黒猫、エヌ(表紙右上)を傷つけられ。とうとう堪忍袋の緒が切れた彼は、エヌが盗み出してきた金貨一枚を片手にパーティを離脱する。
「うちに来ないか、少年!」
捨てる神あれば拾う神あり、と言うべきか。彼に声をかける女性が一人いた。彼女の名はダリア(表紙左上)。最強のパーティ「紅鷹」の一人である「閃紅」の異名を持つ女性である。
彼の戦闘の場面を偶々見かけた事から心惹かれ、放っておけず。あれよあれよと言う間に、ナインはダリアのパーティに参加する事になってしまう。
その出会い、正しく天恵。そこで得られたのは、本当の意味で自分を見て、愛してくれる仲間。存分に自分の力を生かせる活躍の場。
「剣術です!」
「「「そんな剣術があってたまるか!!!」」」
彼に魔力は無い、無能と言われるほどに。だが彼だけの武器、それは剣術。全てを見切り、魔術すら叩き斬る。誰にも真似出来ぬ、どんな敵も切り裂いていける無敵の力。
その力が適切な現場で、適切な援護と共に発揮されるならどうなるのか。お分かりであろう、無双である。勝てる者などいない、圧倒的な正に「僕のステージ」である。
アイラスのパーティの凋落を横目に、邪竜討伐から国を脅かす腐敗した貴族の思惑まで。ダリアたちと共に様々な事態のど真ん中に飛び込んでいき、その力を存分に振るう。
そんな、追放ものの真っ直ぐな面白さがあるのがこの作品なのである。
追放ものが好きな読者様は是非。
きっと貴方も満足できるはずである。