さて、突然ではあるが画面の前の読者の皆様。ストーカーというのは無論犯罪である、悪い事である。警察に通報してしまえば、悪質ならば一発で逮捕な案件である。それは画面の前の読者の皆様もご存じであるかもしれない。ではもし、ストーカーしている側が警察でも止められぬような立場の人間であるとしたら、一体どうなってしまうのであろうか。
とある異世界のとある王国。その宮廷に属する魔法使いの部隊の一員であり、最年少の宮廷魔法士として日々任務に励む少年、レイズ(表紙右)。
兵器として扱われ、先輩たちから時々仕事を押し付けられたり使い走りとしてこき使われ溜息を吐きながらも仕事をこなす彼には最近、とある悩みがあった。それはこの王国の姫であるリシェナ(表紙左)に何故か最近、物陰からやたらと熱い視線で見つめられるという事である。
隠しきれてもいない視線はバレバレ、だけど声をかければ逃げるばかりで話にならず。不可解な現状に首を捻るレイズ。
「お前・・・・・・罪な奴だな」
これは一体どういう事か。無論、画面の前の読者の皆様はもうお分かりであろう。そう、リシェナはレイズに惚れているのである。それをレイズだけは知らず、彼女の想いに気付いてすらいないと言う図なのである。
その心の中にあるのは、かつて賊に襲われた時に助けてくれたその背中。その背中が焼き付き離れず。その想いが思慕に変わるのはある意味当然出会ったのかもしれない。
だからこそ、彼の事が気になるし独占欲という名のやきもちだって抱いてしまう。
「その・・・・・・私も、名前で、呼んでほしい、です」
深夜の逢瀬、彼にやきもちを抱き名前で呼んでとお願いしたり。
「に、似合わないですか・・・・・・?」
お祭りの中での秘密の逢瀬、彼に服装を言及され思わず不安になったり。
身分違いの密やかな、けれど確かに甘い恋。けれどレイズは気付かない。気付かないけれど、それでも彼は任務のままに、リシェナを守る為に、彼女を狙う賊へと立ち向かう。
「申し訳ありません、殿下。遅くなりました」
その姿は、ずっとリシェナの心の中にいた、ずっと待ち焦がれていたあの日の姿のままに。
「相手が悪かったね。僕は、どんな状況や地形だろうと、狙った相手に魔法を命中させる―――スナイパーなんだ」
そして彼は、時に追い込まれ傷つきながらも諦めずに戦う。超長距離からの狙撃に特化したその力で。
何処までも王道ど真ん中、そしてド直球なファンタジーとラブコメ。そんな要素を愉快な面々で色付けているこの作品。王道だからこそ面白い。この魅力、是非とも逃さず見てみてほしい。
王道なファンタジーとラブコメが好きな読者様、決して最強なだけではない主人公が好きな読者様にはお勧めしたい。
きっと貴方も満足できるはずである。
宮廷魔法士です。最近姫様からの視線が気になります。 (ファンタジア文庫) | 安居院 晃, 美和野 らぐ |本 | 通販 | Amazon