読書感想:古き掟の魔法騎士I

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さて、突然ではあるが画面の前の読者の皆様。貴方は騎士道というものはご存じであろうか。騎士の誉れ、騎士が自らに課す騎士としての掟。それが騎士道というのであれば、いったいどれほどの人がご存じであろうか。

 

とある異世界の王国、キャルバニア王国。かの国は今、北に座する魔国、国を支える三人の公爵の不和という内憂外患に苛まれ斜陽の時を迎えていた。そしてこの国の王女ではあるが王になる為性別を偽る「王子」アルヴィン(表紙下)もまた、闇の妖精神を信仰する邪教からの刺客により命の危機へと陥っていた。

 

絶体絶命の状況の中、彼女は王家に伝わる古い御伽噺にすがり、伝説の騎士へと救援を求める。その願いに応え、過去の時代から復活しはるばると駆けてきた騎士がいた。彼の名前はシド(表紙上)。冷酷無比であり「野蛮人」と呼ばれながら、最強の騎士として名を残す青年である。

 

「俺は。お前を守ってやる、と言った」

 

アルヴィンと契約を交わし彼女を守る事を誓い。シドは魔法騎士学園の教官として赴任する。

 

「否定はしない。だが、お前達に限っては、妖精剣っていう、ちょっと強い武器をオママゴトで振り回してイキがっているだけだ。馬鹿馬鹿しい」

 

だが、彼が目にしたのは妖精剣という自らの力ではない力に頼り切り堕落してしまった現代の騎士たちの姿だった。しかし、失望を覚えたシドは目にする。この腐敗して堕落した騎士の時代においても尚、未来の騎士の子供達の中には確かな才の輝きと熱い心が眠っているのを。

 

だが、情勢は待ってはくれない。シドが不在の中、容赦なく邪教の魔の手が王都に迫り、強大なる力を持つ竜が絶望を叩きつける。

 

「さて、改めて聞くが・・・・・・お前達はなんなんだ?」

 

だけど。それでも。アルヴィンは決して屈しない。それどころか率先して立ち向かう。

 

その姿を見る生徒達にシドは問う。騎士とは生き様。なれば貴様らはあの生き方に心震えぬのかと。

 

「・・・・・・御意だ、我が主君」

 

そして、本当の意味で契約が交わされ、シドとアルヴィンが本当の主従となるその時。真の伝説が目を覚ます。

 

「《閃光の騎士》シド卿」

 

歴史の中で失われた真の二つ名。閃光を従え駆け抜ける、本当の伝説の力。

 

正に王道、正に至極。そんな文句も言わせぬ熱さをこれでもかと叩きつけてくる、騎士という生き様を見せつけ、男も惚れる男の姿、本当の意味で「格好いい」姿を見せてくれる。

 

だからこそ、この作品は真っ直ぐに面白い。心が燃えない訳が無いのである。

 

王道ファンタジーが好きな読者様。心熱く燃やしたい読者様にはお勧めしたい。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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