読書感想:魔王が如く 絶対強者の極道魔王、正体を隠して学園を極める

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さて、突然ではあるが画面の前の読者の皆様。貴方は極道と聞くとどんな人物を思い浮かべるであろうか。龍が如くのようなゲームに登場した人物だろうか、それとも実際に存在した人物だろうか。只一つ言える事は、恐らくどんな極道であっても、一本その胸に秘めた芯がある筈、という事である。

 

魔王の魂を継ぎ、裏社会の魔族共を束ねる二代目魔王。彼の名はオーマ(表紙左)。

 

常日頃から鉄火場に身を置いてきた彼が、ある瞬間とあるものを読んだ。それは漫画。そこに記されていたキラキラと輝く学生生活に、オーマは憧れを抱いたのである。

 

それもまた当然の事であるのかもしれない。何処かの紅い目の誰かが言っていたが人は目にしたものが欲しくなる性質を持っている。だが、持っていないからこそ欲しくなる者だって一定数はいるのかもしれない。

 

そんな訳で、身分と力を隠して学生として名門であるクラウディウス高校へと潜入したオーマ。が、しかし。そう簡単にはいかぬのが物語の常であり、やっぱり彼が望むような平穏な青春は簡単には来なかったのだ。

 

それもまた、当然であるかもしれない。何故なら身分と力を隠していても、その凶悪なまでの強面はそのままであり、身分を隠していても身内等バレる所にはバレてしまうものであり。

 

 

そんな彼に声をかけ、生徒会へと招き入れた彼女、その名はツクモ(表紙中央)。名門出身でありながら気さくな人格者であり、彼の事を気にかけていてくれた良い生徒会長。

 

生徒会に入った事から始まる、オーマが望んでいた普通の青春の一端。

 

ある時は不良に絡まれ返り討ちにし、またある時は身内から美人局として送り込まれた刺客、ルシール(表紙右端)を魔の手から救い。

 

それでも楽しかった。それは彼女がいたから。生徒会での楽しい日々があったから。

 

「そいつの名前を教えろ―――俺がケジメをつけてやる」

 

「あの人に二度と手を出すんじゃねぇ」

 

だからこそ、そんな彼女に仇為そうとする巨悪は許してはおけぬ。その瞬間、学生と言う仮初の枷は解け目を覚ます。胸に秘めた仁義を貫き通す、一人の漢でもある魔王が。

 

時にどんくさくも一生懸命に。そして時に、仁義を通す極道の漢として。

 

これは、そんな一人の漢が不器用にも学園生活を謳歌する作品であり、恩義を返す為に仁義を通す、筋の通った漢らしい格好良さが見所となる作品である。

 

時に抜けたコメディ的な部分を見せてくれるからこそ、彼の格好良さは薄っぺらくないのだ。

 

そんな硬派で武骨な、昨今の作品の中では滅多に見かけないであろう面白さのあるこの作品。

 

どうか何も聞かず読んでみてほしい。貴方の感想を聞いてみたい次第である。

 

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