読書感想:魔帝教師と従属少女の背徳契約1

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 さて、世の中には様々な性癖というものが存在し、その中には所謂ニッチな、普通の感性を持っていると理解が及ばない性癖と言うものが存在する。という事は、画面の前の読者の皆様も何処かで感じられたことはあるだろうか。それに関しては私は何もいう事は無いし、無理に相互理解しようとする必要もないと私は思う。

 

因みに私は所謂強姦ものの作品の良さが理解できない。愛が無い性行為、というものは何が良いのだろうか。

 

 

 その点において、この作品の主人公は中々に魅力の持てる主人公と言えるのではないだろうか。時に童貞くさく慌てふためいたりしながらも、きちんと愛に一途なのは良い事である。

 

普通に悪魔や黒魔術が存在し、悪魔が普通に人間社会に受け入れられているとある世界のとある日本。 この世界においては魔術が普通に存在し、魔術師という存在も呪術と言う存在もまた、普通に存在している。

 

 

 この世界の片隅、今まさに大学を卒業し社会に踏み出そうとしていく青年、ジョゼフ(表紙中央)。彼は育ての親であり姉のような存在であり、悪魔でもあるリリスに就職先を紹介されていた。その行く先は「国立北城魔術女学院」。つまりは女の園のただ一人の男性である。

 

「わたしね? ジョゼフくんの奥さんになりたいの」

 

何故か。それはリリスがジョゼフを一人の男として好き、夫にしたいと願っているから。その為には、自身の父親である魔帝の部下、八人の魔王に認められなくてはならぬ。そして認められ、力を借りる為に器となる従者が必要である。それも、身も心も結ばれた深い仲である八人の従者が必要だから。

 

そしてジョゼフにも生きる目的がある。それは復讐。自身の母親である大悪魔、リリムを殺した父親を討伐するという戦うべき理由。

 

 そんな目的とリリスから託された目的を抱え、ジョゼフは女学院で教師として働きだし、体当たりのように生徒達に向き合っていく。

 

「語るかい?」

 

「語りましょう」

 

時に学園長とアブノーマルな趣味で意気投合し、同志として分かり合ったり。

 

「俺はなにがあっても、絶対にきみを助ける」

 

時に、家族が呪われたと言う重い経歴を晒した教え子を慰め、力強く宣言したり。

 

 生まれも何も関係ない。そう言わんばかりに等身大に、熱血的に生徒達に向き合っていくジョゼフ。そんな彼の在り方に惹かれ、集っていく少女達がいる。

 

魔女の血を引く少女、レイア(表紙左)。呪術コミュニティー生まれの才媛、千夜(表紙右)。

 

謎の裏呪術師、リーヤンに狙われ、家族を呪いに蝕まれながらも誰にも頼らず。そんな彼女の心に寄り添い、共に戦うと宣言し。急速に接近するジョゼフと千夜。

 

「俺がここにいる」

 

「だから心配いらない―――いくぞ!」

 

 そして訪れる、仇敵との激突の機会。その最中、千夜を鍵穴とし、怒れる炎の魔王の力は降臨する。魔王の力を携え共に並び。決着を付けんと立ち向かっていく。

 

この作品は、言ってしまえばエロい。もうエロい。それこそレーベル間違えてないかと言いたくなるほどに。だが、このエロスは醜くない。きちんと愛に根差し、ちゃんと段階を踏んでいるからこそ甘く、説得力のあるエロスとなっている。

 

そんなエロスが、手に汗握る熱いバトルと並び立ったのならどうなるか。面白くない訳が無いと言えるのである。

 

エロス溢れる作品が好きな読者様、王道なバトルファンジーが好きな読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

魔帝教師と従属少女の背徳契約 1 (HJ文庫) | 虹元喜多朗, ヨシモト |本 | 通販 | Amazon