読書感想:転生ごときで逃げられるとでも、兄さん?

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突然ではあるが画面の前の読者の皆様、妹は可愛いものであると思うだろうか。そしてヤンデレは性癖に入っているであろうか。

 

この妹が邪神な件について(半分本気)。 この作品の主人公であるジャックは現代日本からの転生者である。そして彼が誰よりも嫌う悪魔、それこそがヤンデレの極みである妹である。そしてこの妹、ヤンデレが過ぎて最早某クトゥルフ神話の邪神レベルへと足を踏み入れていると感じるのは私だけだろうか。

 

高校卒業後、両親を排除し兄を監禁。そして次々と少しでも兄に関わっていた者達を排除していく。そんな妹と縁を切れた、筈だった。

 

しかし奴は言う、転生ごときと。そう、転生「ごとき」と。そして奴はそこに、すぐ近くにいるのだ。

 

転生へと導こうとした神をして、隠れてやり過ごせと怯えさせるほどに委縮させ。兄と同じ異世界へと転生し、兄を再び手元に収めるべく虎視眈々と待ち受ける。

 

奴は言う、「たかが顔と名前と身分と立場が変わった程度のことで、兄さんのことを見分けられないはずがないじゃないですか」と。

 

異常性の濁流を垂れ流す妹を相手に僅か一歳にして戦うことを強いられ、策と精霊の力をもって立ち向かうジャック。いきなりの人生ハードモード、負ければ待つのは掛け値なしのバッドエンド。

 

そう、この作品における妹は決してヒロインなどではない。彼の平穏を壊さんと毒牙を研ぎ影を伸ばし、いつでも彼を狙っている、正に全てを壊さんとする邪神のような存在なのである。

 

そしてこの作品は、異世界で出来た大切なものを守る為にジャックが必死に戦う、王道に異端を掛け合わせた圧倒的なファンタジーであり、邪神系ヤンデレ妹という存在が只の作品ではない、非常に複雑怪奇な味を醸し出している、読んで損はないであろう作品である。

 

退場する妹は言った、また次回、新しい人生でお会いしましょうと。

 

ならば奴は未だ死んではいない、奴はきっとまた現れるのだろう。

 

今はまだそれを知らぬジャックは再び邂逅の時が来たとき、何を想うのか。楽しみである。

 

ヤンデレが好きな読者様、只のファンタジーに飽きた読者様にはお勧めしたい。きっとお楽しみいただける筈である。

 

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