声優、それは声で誰かに夢を届ける仕事。ラジオ、それは相手の顔が見えない声だけで繋がる時間。
ファンの前と仕事の場では超清純派、だけど本当の顔はギャルと地味子。仕事の場では超仲良し、だけど本当の関係は丁々発止の犬猿の仲。
だけど、だからこそ始められる関係がある。友達であり戦友となれる関係がある。
歌種やすみ(表紙右)、夕暮夕陽(表紙右)。二人の中の人、由美子と千佳。
二人の始まりは対等ではなく先を往く者と背を追う者。何もかもが正反対、だからこそ相手が分からない。
だからお互いを分かっていける。お互いがお互いにないものを持っている、だからこそ補い合える。そして、お互い同じステージに立っているからこそ口と態度で反目しあっても、心の奥底では繋がれる。
そんな、今時の等身大の女子高生の二人がぶつかり合い反目し合いながらも絆を深め戦友となっていく作品である。第26回電撃小説大賞選考会にて選考委員満場一致の評価をとったのも頷ける、丁寧に作り込まれた面白さが光っている、新人ながらもレベルが高い作品である。
これは声を大にして断言したい。読んで損はない作品であることを。微力ながらも私は太鼓判を押したい。
普段は見えない舞台の裏側、ぶつかり合いながらも友となっていく彼女達の姿を画面の前の読者の皆様も一緒に覗いてみませんか?