読書感想:こちら、終末停滞委員会。2

 

 

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読書感想:こちら、終末停滞委員会。 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、前巻を読まれた読者様は数多いようでこの作品が人気になるのは読んだものとして嬉しい限りである。と、まぁそんな話はともかくとして。前巻を読まれている読者様であればこの作品の主人公である心葉の、その痛ましいまでの、どうか救われてほしいと願ってしまうあり方もご存じであろう。例えどれだけ傷つこうとも、誰かの幸せを望み当たり前の日常だけを願う。そして、Lunaと合体し闘う。 だがこの力は「終末」相手にするには十分であっても、対人と言う観点からはやり過ぎにも等しい。そして心葉にも「銃痕」が覚醒する可能性はある訳で。

 

 

と、言う訳で心葉にも無事に銃痕が発現する訳であるが、そのあまりにもあれな力にやっぱり痛ましくなるのが今巻であり。大会と言う対人戦を通じ、それぞれの生きかたと秘めた思いに目を向けていくのが今巻である。

 

「早急な対策が必要かと思われる。彼女は生きているべきではない」

 

ひかりの暗殺計画が何処かで持ち上げられる中、心葉とLunaは無事に「蒼の学園」に入学し。嫌味な奴等に見えて実はいい奴等な学友に気にかけて貰ったり、終末を宿すと言う事で敵対視する女子生徒もいたり。 全てひっくるめて学園生活、と言わんばかりの青春を謳歌する中で。

 

「あなたが生まれてきたことは、けっして悲劇ではないと言う事」

 

「―――実はボクは、彼のために生徒会長になったんだよね」

 

夢の世界の中での謎の少女との邂逅で目覚めた銃痕、「noapusa」。あまりにも小さな拳銃の使い方は分からぬ中、恋糸班で出ることになったのは、三大学園が集いあらゆる分野で戦う「天空競技祭」。生徒会長であるエリフが心葉に対する意味深な態度をひかりにだけ見せる中、班員で出向くのは合理主義である「corporation」のおひざ元。近未来的な町を楽しむ中、対戦相手となる者達にひかりが敢えて挑発をしかけ。心葉の読心能力で感じ取ったのは、代表選手の一人であり学園内警察の隊長、ケイトリンがひかりと自分に殺意を抱いているというもの。

 

「・・・・・・お前、銃痕を使えないのむしろラッキーネ」

 

ならば負けぬように強くならねば。 ケイトリンが魔王にも協力を依頼している裏で、心葉たちはチームの一員である万年留年生、シーハンの世界で訓練を受け。彼女から指摘された事実を胸に、心葉は考える。自分の願い、その本質とは何なのだろうかと。

 

「俺はそれが、悲しくて仕方がないんだ」

 

始まる代表戦、死力を尽くす一進一退。その中で発揮される「noapusa」の真価。それは正に冒涜的、人間に憧れたバケモノの心の在り方。全てをあざ笑うか如き災厄な力。

 

「―――これって運命だったんだよ!」

 

その力を見ていた始まりの存在、黒の魔王。ひかりの出番、そこに乱入してきた反体制組織の一つ、カルト組織が暴れ回る中で彼女は現れ、周囲なんて知ったことかと彼だけを見つめ、それを邪魔してきた大魔導師、マエストロに怒り狂い化け物同士の戦いへともつれ込んで。

 

「―――私は人間よ。あなた方がなんて言おうと」

 

そして、ひかりは。ケイトリンとそのチームメイト、更には反体制組織の連合の連携作戦に苦戦させられながらも誰も殺すことなく倒し。ある意味で化け物、ただの「人間」としての思いで、どこか悲しそうに戦いを終わらせていく。

 

それぞれの思い巡り更に熱さと切なさが増して世界観が深まっていく今巻。前巻を楽しまれた読者様は是非。きっと貴方も満足できるはずである。

 

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