読書感想:陰キャだった俺の青春リベンジ5 天使すぎるあの娘と歩むReライフ

 

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読書感想:陰キャだった俺の青春リベンジ4 天使すぎるあの娘と歩むReライフ - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、前巻の騒動を経て名前で呼びあえるようになった心一郎と春華であるが、まだ春華の方の純真すぎる心に恋心と言う目が芽生えていないせいで、何でこれで付き合っていないんだ、という状況に陥っているのは画面の前の読者の皆様もお分かりであろう。 さて、ここでであるが。心一郎の初期目的を思い出してみよう。

 

 

それは未来を、春華の自殺と言う悲しき結末を変える、という事。しかしそれに関してどうすればいいのだろうか? 彼が就職し、変えていくか? それでは時代が予定通りに進む速度に比べたら遅すぎるかもしれぬ。では、どうしたらいいのか? それは簡単、ある意味難しい。そもそも春華の自殺、というのは家業の不振から繋がってしまう出来事。ならばその根っこを変えねばならぬのだ。

 

「労働ってものをやってみることにしたんだ」

 

そのチャンスがやってくるのが今巻なのだ。 春華の誕生日が近い、とひょんな事から知り。心一郎が選んだのはバイトの道。その舞台となるのは春華の実家である、紫条院家が経営する千秋楽書店が開店したブックカフェ。この時代ではまだ珍しいそこに応募し、店長代理である三島を、志望動機の見事なプレゼンで唸らせ。

 

「いいから君はさっさとその前時代的な考えを残らずゴミ箱に捨ててきなさい!」

 

 

しかし、漏れ出た社畜時代のブラック企業の常識でドン引きさせてしまったりしながらも採用され。あっという間に彼は頭角を現していく。それもまぁ当たり前であろう。社畜時代に培われたスキルを以てすれば、バイトのトラブルなんて朝飯前である。

 

 

そんな彼の様子をこっそり見に来た春華は、その背に憧れ同じ店でバイトをする事となり。先輩と後輩として指導をする中、こっそり視察をしにきた社長で父親、時宗と向き合う事となり。何か思う所を聞かれ、彼は思うがままに、未来での本屋の行き詰まりの予想と、ブックカフェから発展させた新たな事業スタイルを提案する事となって。

 

「礼を言うよ新浜君。おかげで私の心も固まった」

 

 

「私に決意を促してくれた礼を渡さねばな。受け取っておきたまえ」

 

 

それは、閉塞感に飽き始めていた時宗の心に火をつけ、背を押す応援となり。本格的に動き出す事を決意する、という事。つまりは後手に回った事で衰退した未来を変える決定的な切っ掛けとなる。そしてそのお礼として、彼は手にする。ホワイト企業へのチケット、将来の採用という社長自らの太鼓判を。

 

「自分が働いたお金で買いたかったんだ」

 

無事に誕生日プレゼントも渡す事が出来、もはや心配する事も無し。しかし忘れてはいけぬ、彼は未来を確かに変えてしまった、という事を。ならばその分の揺り戻し、対価の支払いがあるだろう。それは多分、社畜スキルでは対応できぬ事態となるのだろう。

 

最後の試練が仄めかされる今巻。 シリーズファンの皆様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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